猿之助の代役は19歳・市川團子 香川照之の長男 宙乗り大役、一門の危機を救う

[ 2023年5月20日 05:10 ]

市川團子
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 東京・明治座は19日、市川猿之助(47)が主演していた5月の昼の部公演「不死鳥よ 波濤(はとう)を越えて―平家物語異聞―」の代役をきょう20日から、いとこの市川中車(香川照之、57)の長男・市川團子(19)が務めると発表した。

 5月公演は「市川猿之助奮闘歌舞伎公演」と題された通り、猿之助が昼夜で躍動するはずだった。「不死鳥よ…」は、市川猿翁(83、当時三代目猿之助)が1979年に初演した演目。團子が演じるのは主人公の平知盛で、劇中に宙乗りや歌唱シーンがある大役だ。前日18日の公演は急きょ中止になった。関係者は「すぐに会議が開かれ、猿翁さんの血を引く團子さんに代役を務めてもらうことになった」と明かした。

 團子は夜の部にも出演しているため、稽古がほとんどできない、中1日の限られた準備時間で本番を迎えることになる。脚本や演出の変更はないといい「自分の出演予定がなくても、團子さんは猿之助さんの舞台を熱心に見ていた。共演者やスタッフが一丸となって團子さんを支えていくことになる」(同関係者)という。

 團子は一門だけでなく、歌舞伎界の将来を担う存在として注目を集めている。甘いルックスに加え、多くの先輩俳優にもまれながら着実に芸を身につけている。「いつかは澤瀉屋(おもだかや)の大名跡である“猿之助”を継ぐ可能性も高い」と評価する歌舞伎関係者は多い。

 そんな期待を一身に背負う立場だが、歌舞伎俳優としてのキャリアはまだ浅い。演劇関係者は「いきなり猿之助さんの代わりにはなれない。今回は本人にとっては大きな正念場となるが、ここを乗り越えたら大きく成長するだろう」と話す。

 千秋楽は28日。澤瀉屋のホープが、一門の危機を救うために立ち上がる。

 ◇市川 團子(いちかわ・だんこ)本名香川政明(かがわ・まさあき)。2004年(平16)1月16日生まれ、東京都出身の19歳。12年に東京・新橋演舞場の「スーパー歌舞伎 ヤマトタケル」で市川團子を名乗り初舞台。13年に国立劇場の「春興鏡獅子」の胡蝶役で国立劇場賞特別賞を受賞。屋号は澤瀉屋。

 ◇不死鳥よ 波濤を越えて―平家物語異聞― 79年に梅田コマ劇場で初演。宝塚歌劇団の演出家・植田紳爾氏が手がけた作品。平家の武将・平知盛が、壇ノ浦の戦いで敗れた後も生き延びて大陸に渡ったという設定。歌と踊りによるレビューと、歌舞伎を融合させた演出となっている。

 ≪明治座「お客さまのために」公演継続≫
 明治座はこの日、公演再開にあたっての声明文を同社の公式サイトで発表した。「明治座の150年の歴史は、歌舞伎と共に歩んだ150年です」と公演の意義を強調。「お客さまのために製作の松竹さまと協議の上、歌舞伎役者の皆さま、関係者スタッフの皆さまと力を合わせ公演継続することといたしました」とした。

 ≪20日以降も夜の部は中村隼人≫
 19日の夜の部「御贔屓繋馬」は、18日に続き中村隼人(29)が猿之助の代役として主演した。20日以降も隼人が務める。宙乗りや6役の早変わりなど目まぐるしく舞台を動く難役。当初から千秋楽の28日は「花形公演」と題して隼人が主演を務める予定だったため、稽古は重ねてきた。それでも突然の役変更。無事に務めあげ、大きな拍手を浴びていた。

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