「どうする家康」岡田信長がネット席巻!演出語る竹柵リング裏側と魅力 大河でも格闘振付 松潤奮闘を導く

[ 2023年2月5日 11:30 ]

大河ドラマ「どうする家康」第2話。松平元康がいる大高城へ向かう織田信長(岡田准一)(C)NHK
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 俳優の岡田准一(42)がNHK大河ドラマ「どうする家康」(日曜後8・00)に織田信長役でレギュラー出演し、圧倒的な存在感。初回(1月8日)からSNS上で大反響を呼び続けている。主演を務めた2014年「軍師官兵衛」以来9年ぶりの大河凱旋。嵐・松本潤(39)のジャニーズ事務所の先輩、大河主演の先輩としてサポートし、また主人公・徳川家康に大きな影響を与えるカリスマとしてドラマ序盤を牽引している。前回第4回(1月29日)は、相撲シーンの“振付”を担当した。チーフ演出の村橋直樹監督に撮影の舞台裏や岡田の魅力を聞いた。

 「リーガル・ハイ」「コンフィデンスマンJP」シリーズなどのヒット作を生み続ける古沢良太氏がオリジナル脚本を手掛ける大河ドラマ62作目。弱小国・三河の主は、いかにして戦国の世を生き抜き、天下統一を成し遂げたのか。江戸幕府初代将軍を単独主役にした大河は1983年「徳川家康」以来、実に40年ぶり。令和版にアップデートした新たな家康像を描く。古沢氏は大河脚本初挑戦。松本は大河“初出演”にして初主演となる。

 第4回は「清須でどうする!」。永禄5年(1562年)1月、松平元康(松本潤)は織田信長(岡田准一)が待つ尾張・清須城に到着し…という展開。

 織田の人質だった幼き頃以来の対面。信長より先に頭を下げても名乗ってもいけないと鳥居忠吉(イッセー尾形)に忠告されたが、元康は「松平蔵人佐元康にござりまする」。信長は「織田上総介信長である」と威厳たっぷりに応じた。

 再会のあいさつ代わりの相撲は、竹垣(竹柵)に囲われた“異種格闘技”。信長の“右ラリアット”を食らったものの、元康は反撃し“巴投げ”。最後は信長に軍配が上がったが、信長は「それでよい」と元康の闘志を認めた。

 そして、もう一人、相手が現れた。木製の薙刀を手にした“仮面武者”。白熱の攻防の末、仮面が外れると、それは信長の妹・お市の方(北川景子)だった。15年前、男勝りな少女だった市との再会。「お久しゅうございます。竹殿」――。

 冒頭からスピーディーな展開。村橋監督は「演出としては、冒頭から如何にこの乱高下の手を緩めないか、がテーマでしたので、あの竹柵に囲まれた空間を考えました。戦っている間にお市の仮面が取れなくてはならないので、その必然性を作るためにぶつかる対象として柵が必要だったという理由もあります。岡田さんは皆さんご存知のように武術家としての佇まいを身につけていらっしゃるので、普段も半径2メートル以内に入ると『あ、オレ死ぬかも』(笑)と思うくらい、目に映らない圧力を感じるんです。その中に松本さんを放り込むとお芝居が変わるんじゃないかな、という思いも込めて、あの空間を作りました」とステージングの狙いを明かした。

 07年のドラマ「SP 警視庁警備部警護課第四係」の構想段階から本格的に格闘技を習い始めた岡田。棒やナイフを使うフィリピン武術「カリ」、香港のアクションスター、ブルース・リーが創始した「ジークンドー」、総合格闘技「修斗」のインストラクター資格を持つ。壮絶なアクションシーンを披露した映画「ザ・ファブル」シリーズ(19、21年)はファイトコレオグラファー(振付師)、「ヘルドッグス」(22年)は技闘デザインを兼任した。

 岡田は「子どもの頃から、肉体的にも精神的にも家康にトラウマを植え付けるのが信長なので、その象徴的なシーンですよね。このシーンは、演出側から振付をお願いされたので、大河ドラマで動きを付けるなんて考えてもみませんでしたが、お引き受けしました。台本にも『総合格闘技のように』と書かれていて、新たなチャレンジという意味でも担当させていただきました」と述懐。

 「オファーをお受けした時から、制作陣からは『長年大河ドラマを愛してくださっているファンを大切にしながらも、家族で見られる新しい大河ドラマをつくりたい、挑戦したい』という話をうかがってきました。僕自身も、時代劇の可能性や時代劇を演じていく意味、これまでの時代劇をどう超えていけるかを日々模索しています」と時代劇への思いも人一倍だ。

 村橋監督も「アクション自体はコレオグラファーとして岡田さんが作ってくれたもので、松本さんも岡田さんの自宅に通って練習を重ねてくれました。岡田さんは相手のアクション的な力量によって様々な加減をしながら見栄え良く見せることができます。逆説的に言うと、松本さんの力量が上がれば上がるほど、遠慮のない、リアリティーあるアクションになっていくということなので、後輩として松本さんも奮起せざるを得ない。とにもかくにも、岡田さんは自分自身のお芝居よりも『家康にどう圧力をかければ、相手のお芝居が良くなるか』を一番に考えている、我々演出にとっての“共犯者”として場にいてくださっています。そのようなプレッシャーがここにも、ですね。お二人の関係性によって、作品内のクオリティーをどんどん上げてくださっていると日々感じます」と感謝した。

 初回はラストに登場し、討ち取った今川義元(野村萬斎)の首を括り付けて馬上から豪快に槍投げ。登場シーンは合計約1分ながら、オンエア終了後(午後10時)にはツイッターの世界トレンド3位に「俺の白兎」(信長の台詞)、14位に「岡田信長」が入り、大きな話題を集めた。

 初回を担当した演出統括・加藤拓監督も岡田の驚異的な身体能力と精神力、そして作品への献身を絶賛してやまない。

 「義元の首を穂先に括り付けた槍、とても重いんです。それを走る馬上から鋭く投げる、しかもカッコよく。スタッフで試しに持ってみたら『こんなの、実際投げられるの?』という感じでした。それを一発で…プロフェッショナル・岡田さんだからできたことだと思います。あのシーンはかなり特殊な撮り方をしていて、カメラワークや槍の角度など様々な注文があったんですが、それを平然と受け止め、冷徹と狂気をはらんだ信長登場シーンを出現させてくれた演技にはシンプルに感動しました。『普通じゃない撮り方をしているんだから、普通じゃない絵ができるんだよね』と言って軽々と予想を超えるモーションを繰り出すスキルとスピリットは本当に凄いですよね。槍を鋭く投げるために馬上で限界まで体を反らせる、そして、どの一瞬を切り取っても美しい。その場にいたスタッフを一瞬で惹きつけました。誰もがそこを見ずにはいられない、まさに織田信長の出現だったと思います」

 「少年時代の家康を演じる川口和空さんのアクション練習にも、岡田さんはじっくりと、何度も何度も付き合ってくれました。とても包容力があって、ドラマを良くするための提案を全く惜しまない。今回の織田信長にも、そういう岡田さん自身の魅力があふれているんではないでしょうか。人を寄せ付けない集中力と、人を魅了せずにはいられない包容力、岡田さんのいる撮影現場は安心感と緊張感が心地よく混ざり合っている感じがします」

 第2回(1月15日)も「岡田信長」がトレンド世界6位、「スーパー攻め様」が18位、「俺の白兎」が19位、「俺のおもちゃ」(信長の台詞)が35位(午後10時)、第4回も「岡田信長」がトレンド世界5位(午後9時)、「V6天魔王」が21位(午後10時)にランクイン。しばらくは“岡田信長”の“天下”が続きそうだ。

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