ゼレンスキー大統領訪米の思惑 専門家が解説「ほかのヨーロッパも支援継続の流れが作れる」

[ 2022年12月22日 18:11 ]

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 外交や安全保障に詳しい明海大学の小谷哲夫教授が22日、TBS系「Nスタ」(月~金曜後3・49)にリモートで生出演し、ウクライナのゼレンスキー大統領が今年2月のロシアによる侵攻後初めて、国外訪問で米国を訪れた狙いについて解説した。

 同大統領は21日(日本時間22日)、訪米し、バイデン大統領と首脳会談を行い、その後は米上下両院合同会議にも参加し、演説を行った。ロシアの攻撃で電力が寸断され、ろうそくでクリスマスを祝福する国民のつらさを訴えるなどし、継続的な軍事支援を呼びかけた。

 ゼレンスキー大統領の訪米の目的について小谷氏は、11月に行われた中間選挙で決まった議員構成が年明けから変わることに言及。「下院に関しては共和党が多数派になるんですけど、共和党議員の中にはウクライナへの支援に懐疑的であったり、表立って反対している議員が相当数います」とし、「このタイミングでの訪米、対面での議会での演説というのは、ウクライナが戦っている戦争というのが、決してウクライナを守るためだけではなくて、世界で自由や民主主義が脅かされているというアピールを、議会はもちろんですけど、これを聞いているアメリカ国民にもう一度訴えかけて、支援の継続をお願いするということで行ったのではないか」と分析した。

 ウクライナへの軍事支援を続ける国からは、長期間、多額の支援で「支援疲れ」を指摘する声もある。小谷氏は「アメリカが支援を継続するのであれば、ほかのヨーロッパも支援を継続しようという流れが作れますので、そういう意味でも今回、ワシントンに行くという決断をゼレンスキーはしたのだと思います」と推測した。

 小谷氏によると、ウクライナ側に停戦の意思はないように見えるという。「ゼレンスキー大統領としては、今の段階で仮に停戦したとしても、ロシアがそれに本気だとは考えられませんので、単に時間稼ぎ、さらなる侵攻を準備するだけだという判断でしょうから」と、仮に停戦となった場合のロシア側の思惑を指摘。「そういう意味でも、アメリカに対しても今停戦するつもりはないと。今武器の支援などをしてもらって、軍事力でロシアをウクライナから追い出す、そこまで助けて欲しいということだと思います」と話した。

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2022年12月22日のニュース