「舞いあがれ!」入社延期エピソード NHK制作統括「全体の中でポイントになる」

[ 2022年12月22日 09:00 ]

連続テレビ小説「舞いあがれ!」で、祖母の祥子(高畑淳子)と話す舞(福原遥)(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】22日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第59回で、ヒロインの舞(福原遥)と祖母の祥子(高畑淳子)が夜中に布団の上で語り合う場面が描かれた。

 舞は合格した航空会社の入社がリーマン・ショックの影響で1年間延期となり、祥子を手伝うために久しぶりに五島列島を訪れた。そこで、都会の学校になじめない小学生の朝陽(又野暁仁)に出会って見守る日々を送るが、パイロットになるために高く厚い壁を乗り越えた前週までの熱い空気感とは打って変わって静かで優しい空気感が漂う。

 制作統括の熊野律時チーフプロデューサーは「前週までとは大きくテイストが変わっている。現在、物語全体の半分くらいに差しかかっていて、このタイミングで作る話は全体の中でポイントになる」と今週からの放送の重要性を強調する。

 前週までは舞が夢に向かって突き進む姿が描かれたが、今週はいったん立ち止まり、自分のこと、周囲のことを見つめ直す姿が描かれている。

 熊野氏は「舞には、生きづらさを抱えている人たちにちゃんと目を向けられるヒロインであってほしい。それが、このドラマ全体の大事な要素の1つで、舞がいろんな立場の人たちの気持ちをすくい上げて行くキャラクターであることを改めて丁寧に描いている」と説明する。

 脚本は、航空学校編を担当した嶋田うれ葉氏、佃良太氏から、桑原亮子氏に戻った。

 熊野氏は「努力によって壁を乗り越えていく非日常的な世界から、特別なことは何も起こらない日常に戻った。日常での細やかな人と人のやりとり、交流を描くのは桑原さんがとても得意とするところ」と話す。

 そんな中で、舞の現在の状況を端的に表したのが、夜中に布団の上で祥子と語り合う場面。舞が入社延期に強い衝撃を受け、相当に焦っていることを打ち明けると、祥子は自身の船が天候の影響で出せない日が多いという話をした上で「むだな時間とは思わん」と猶予期間の大切さを伝えた。

 熊野氏は「舞は以前に五島にいた時より成長している。大人になった舞に対し、ばんば(祥子)が掛ける言葉も変わっていて、今の舞に必要な言葉を自然な形で語りかけている。福原さんと高畑さんのお芝居も以前とは違う味わいになっている」と語った。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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2022年12月22日のニュース