藤井2冠 16日に3期連続の王将リーグ入りをかけた2次予選決勝 今年度4敗中、1敗を喫した稲葉八段戦

[ 2021年8月15日 17:31 ]

稲葉陽八段(左)
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 藤井聡太2冠(19)=王位、棋聖=が16日、大阪・関西将棋会館で第71期ALSOK杯王将戦(本社主催)の2次予選決勝に臨む。稲葉陽八段(33)に勝てば昨期、陥落した挑戦者決定リーグへ3期連続の参戦を果たす。

 対戦成績は藤井の3勝2敗。ただ、直近の6月、名人戦B級1組順位戦では敗れた。藤井が2年4カ月継続した順位戦での連勝記録が、歴代2位の22で止まった。

 王位戦7番勝負、叡王戦5番勝負のダブルタイトル戦の最中にある藤井は共に豊島将之竜王(31)=叡王との2冠=を相手に2勝1敗。王位を防衛し、叡王を奪取すれば3冠となり12日、永瀬拓矢王座(28)との挑戦者決定3番勝負に先勝した竜王戦も奪取すれば年内4冠の可能性がある。

 そしてリーグで初挑戦を決め、7番勝負が例年年明けに開幕する王将戦も、となるとしめて5冠。リーグ、7番勝負と違って一つの負けも許されないトーナメントの最終戦に、稲葉という強敵を迎えることになった。稲葉には4年前、名人挑戦経験があった。

 本紙観戦記者の関口武史指導棋士五段は「(対局前、先手後手を決める)振り駒から楽しみ」と指摘する。先後の違いで変わるが、戦型予想の本命は角換わりという。

 相居飛車において矢倉、相掛かりと並ぶ3大戦型の一つ。後手番での勝率が下がり、採用棋士が減っていたが最近、その後手番でも互角に立ち回れる手順が発見され、復活傾向にあるという。両者の最近4局は全て角換わり。さらに豊島とのダブルタイトル戦でも6局中5局が角換わり。

 「稲葉八段は相当絞り込んできているはず。準備のアドバンテージは稲葉八段にあると思います」とするのはタイトル戦だけで7月4局、今月5局の藤井の過密日程にある。藤井としては3時間の持ち時間を一方的に削られる展開は避けたい。

 同時に、渡辺明王将(37)=名人、棋王の3冠=を3タテした6、7月の棋聖戦5番勝負、豊島とのダブルタイトル戦という濃密な時間で発見した、盤上の指し手には現れなかった別の有力変化がストックにある可能性もあり、弊害だけでなく過密日程の恩恵にも目を向ける必要はありそうだ。

 《四段昇段からも落ちない勝率》4年連続勝率1位賞に輝く藤井は今年度も20勝4敗、勝率・833の好成績を誇る。棋士となる四段昇段から対戦相手のレベルが上昇しても落ちない勝率は、その成長を証明する。今年度の4敗を調べると2敗は豊島、そして稲葉、王座戦での深浦康市九段(49)。渡辺、豊島、藤井、永瀬拓矢王座(28)による4強の構図が今年度が終わる頃、どう変わっているかも注目に値する。

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