女性演歌歌手ピンチ オンラインが“できない”高齢男性ファンどうすれば…コロナ禍で苦境続く音楽界

[ 2020年12月20日 09:30 ]

激動2020 芸能編(4)

コロナ前は演歌好きの熟年男性がたくさん集まっていたのに…
Photo By スポニチ

 新型コロナウイルスの影響で、エンタメ業界が大きな打撃を受け、とりわけ音楽業界は苦しい状況が続く。CD販売は年々右肩下がりで、ライブのグッズ販売が大きな収入源だったがライブ自体が行えず収益が悪化した。エイベックスが大規模希望退職を募るなど“ピンチのじゅうたん爆撃”の中、最も危機に瀕(ひん)しているのが女性演歌歌手だ。

 コンサートや地方営業でCDを手売りする従来の収入モデルが封じられ、頼みのオンラインは、ファンの年齢層が高い演歌、歌謡曲界と相性が悪い。11月に、男性歌謡グループ「純烈」が自身初の配信ライブを行ったが、3000円のチケットの販売数は2000枚。音楽関係者は「それでもよく売れた方」と話す。

 大きな鍵は、オンラインにおける男女ファンの対応の差。「女性は慣れない手続きでも頑張ってやるが、女性演歌歌手目当ての男性はすぐ諦める傾向がある」(同関係者)。ベテラン勢は収入源確保に必死だ。

 今年は巣ごもりや休校により、10~20代が好むサブスクやTikTokが大きな影響を持つようになった。今年ブレークした瑛人、YOASOBI、Rin音はサブスクやTikTok発。一部レコード会社はTikTokでの楽曲使用を無料にして“ラッキーヒット”を狙う動きも見せているが、関係者は「女性演歌歌手が食い込むのは難しい」と話す。

 一筋の希望は、配信にお金を払う抵抗感が薄れてきていることだ。イベント会社社員は「嵐が11月に行った東京・国立競技場ライブ配信は5000~6000円台と比較的高値だったが爆売れした。これを機に、配信チケットの価格相場が高めに定着する可能性が高くなった」という。

 通常のライブと比べコストは格段に低い。「チケット単価が高くなれば、新たな収入の柱になり得る」(同社員)と期待が高まる。

 女性演歌歌手を抱える事務所は、高齢の男性ファンの取り込み策に知恵を絞る。「オンライン手続きの簡略化はもちろん、配信限定で“酒場トーク”のような歓談ができるとか、高齢男性が喜びそうなオマケをつけることも考えている」(事務所スタッフ)。生き残りには、自らを切り売りするくらいの覚悟が必要になりそうだ。

続きを表示

2020年12月20日のニュース