鈴木啓示氏 阪神・伊藤将は初回、丸を見逃し三振に取ったことが完封につながった

[ 2022年7月15日 07:00 ]

セ・リーグ   阪神3-0巨人 ( 2022年7月14日    甲子園 )

鈴木啓示氏
Photo By スポニチ

 【鈴木啓示 視点】プロ15年目の巨人・丸が、2年目の阪神・伊藤将に手も足も出なかった。3点差で迎えた9回の先頭打者。巨人のクリーンアップとしては、見せ場だった。ところが全くタイミングが合わない。初球は外角直球、2球目も外角直球。キャリアのある丸が2球続けて見送るしかなかった。最後の5球目は変化球で空振り三振。伊藤将のテクニックが凝縮されていた。

 初回1死二塁のピンチで、この丸を見逃し三振に取ったことが、巨人に対する2試合連続完封につながった。決め球は外角低めへの144キロ直球。梅野の構えたところにズバリと決めた。スピードは突出していないが、それを補って余りあるコントロールを伊藤将は持っている。

 内角、外角へのコントロールの正確さ、胸元をしっかり攻め、相手に踏み込ませず外角を遠く感じさせたバッテリーの配球、そして腕の振り、足の踏み出しなどを意識的に変えて、タイミングを絞らせなかった工夫。3つの要素がそろっての好投だった。

 今季6勝のうち5勝が甲子園でのもの。広いホームグラウンドの特性も投球に生かし、地の利を得ている。今回の9奪三振で、打たせて取るイメージから進化も果たした。取り組んできた準備を今後も根気よく継続してほしい。(スポニチ本紙評論家)

続きを表示

この記事のフォト

2022年7月15日のニュース