「広島の大砲」呉港・田中多聞に10球団集結! 無安打も魂のヘッスラ本盗で初戦突破

[ 2022年7月15日 13:43 ]

第104回全国高校野球選手権広島大会・2回戦   呉港4―2安西 ( 2022年7月15日    鶴岡一人記念 )

<安西・呉港>8回1死一塁、松本の適時二塁打で同点のホームを踏んだ呉港・田中はガッツポーズ(撮影・岸 良祐)
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 今秋ドラフト候補に挙がる呉港・田中多聞外野手(3年)が今夏初戦の安西との2回戦に「4番中堅」で先発。3四死球で2打数無安打も、魂のヘッドスライディングで初戦突破に導いた。

 「正直、負ける覚悟はありましたが、どういう形でも勝とうと話していました。粘り強く戦えたと思います」

 高校通算48本塁打を誇るスラッガーを見ようと、10球団17人のスカウトが集結。初回、肩に受けた死球が顔面をかすってヒヤリとさせたが、全く問題なかった。最大の見せ場は9回だ。1点ビハインドの9回、2―2の同点に追いつき、2死一塁から申告敬遠される“珍事”。1点を勝ち越し、なお2死一、三塁では三塁走者として、魂の本塁ヘッドスライディングで重盗を完成させ「一番自信があるのは走塁」と胸を張った。

 負けられない理由がある。昨秋県大会1回戦で英数学館に敗退。プロを目指す上で「このままではいけない」とスイッチが入った。午前6時からの朝練だけで1000スイングを欠かした日はない。両手には10個以上のマメが今も残る。この日も日課をこなしてから球場入り。「打たないといけない気持ちが強すぎた」と2度のアットバットでは結果を残せなかったが「チャレンジャーとして常に全力でやっていきたい」と次戦以降で豪打を見せつけるつもりだ。

 呉港は1934年夏に初代ミスタータイガース・藤村富美男を擁し全国制覇。世間一般的には“古豪”と呼ばれるが、田中は「昔、強かったと言われるのが悔しい」という。今年の「ごこう」が「こごう」ではないことを、走攻守で証明する夏にする。

 ◇田中 多聞(たなか・たもん)2004年10月24日生まれ、大阪府八尾市出身の17歳。近大付小5年から藤の里アトムズで野球を始め、大体大浪商中では南大阪ベースボールクラブに所属。呉港では1年夏からベンチ入りし、同秋から背番号3でレギュラー。2年春から現在の「8」を背負う。50メートル走6秒0、投手としても最速145キロを誇る。1メートル83、84キロ。左投げ左打ち。

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2022年7月15日のニュース