阪神 熊谷の“神ヘッド”で今季初の最下位脱出!延長11回、敵失に乗じて一塁から一気に決勝生還

[ 2022年6月12日 05:30 ]

交流戦   阪神3-2オリックス ( 2022年6月11日    京セラD )

<オ・神>延長11回1死一塁、二盗を試みた代走・熊谷が敵失に乗じて一気に生還(撮影・成瀬 徹)
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 阪神が11日、オリックスとの延長戦を制して、開幕から64試合目にして初めて最下位を脱出した。11回1死一塁から代走・熊谷敬宥内野手(26)が二盗を決めた際、送球がヘルメットに当たって転がる間に一気に生還した。悪夢の開幕9連敗に始まり、4月21日には5位と最大8ゲーム差。6月に入って6連勝などで盛り返し、“神ヘッド”でついに5位浮上を決めた。

 豪快な本塁打でも、会心の適時打でもない。敵地で歓喜を呼んだのは熊谷の執念の激走だった。

 「心臓がバクバクしていた。(佐藤)輝が必死に出てくれたので、仕事をしようと思っていた。走るしかないと思って、次の塁だけを狙っていた」

 同点の延長11回先頭で左前打した佐藤輝への代走で登場。1死後、ロハス・ジュニアの打席で3球目に果敢にスタートを切った。捕手・伏見の二塁への送球が頭部のヘルメットに直撃。ボールが中堅付近へ転がる間に一気に本塁を陥れ、決勝点を“神走塁”で呼び込んだ。

 代走は今季17度目。盗塁は過去8度の企図で成功5度。成功率62・5%でも、土壇場で50メートル5秒8の俊足で勝負した。

 「行ける確信はなかったけど、(三塁の)藤本コーチが必死に回してくれていたので、僕はホームに突っ込むだけと思っていました」

 ベンチでナインから手荒い祝福を受け、満面の笑み。三塁に就いた11回裏は好守で締めくくり、プロ5年目で初体験のヒーローインタビューで「全く覚えていないぐらい興奮していた」と無我夢中だった。矢野監督も賛辞を惜しまない。

 「年間で何回も起こり得るプレーじゃない。今まで、走ることとか挑戦することとか、ずっと2軍のときから一緒にやっているメンバーなので…。その勇気がああいう形になったと思う」

 2軍監督だった18年には「超積極野球」を掲げて年間163盗塁。同年の熊谷はウエスタン・リーグ4位の23盗塁を記録するなど積極性を植え付けられ、“矢野イズム”を殊勲の走塁で体現した。

 8回に難敵の山本から2点差を追いつき、今季7度目の延長戦で初勝利。悪夢の開幕9連敗に始まり、4月21日には5位と最大8ゲーム差があった。初めて1差で迎えた今月7日から4度目の挑戦が実り、待望の5位浮上。借金16が7まで減り、3位・広島とも3差しかない。もう上しか見ない。(長谷川 凡記)

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