「最高の同窓会」大分舞鶴の奮闘に見守ったOBも拍手 病克服した11年前のエース・花田賢政さん

[ 2022年3月20日 05:30 ]

第94回選抜高校野球大会第1日第1試合・1回戦   大分舞鶴0ー4浦和学院 ( 2022年3月19日    甲子園 )

大分舞鶴OBの花田賢政さん
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 【いっちーの球春胸キュン日記】緑に染まった大分舞鶴のアルプスから、後輩たちを特別な思いで見守るOBがいました。11年前のエースだった花田賢政さん(29)。「自分の時は秋も春も夏も初戦負けでした」と笑いますが、同大→日本製鉄大分と進み、プロの世界を目指しました。

 しかし、入社直後に異変が起こります。即入院するよう促されましたが「入院したら野球ができない」と一度は拒否。その後は食事も取れないほど悪化し、診断は悪性リンパ腫でした。8カ月の抗がん剤治療を乗り越え、再び夢を追って実戦復帰するまでさらに8カ月。長い闘病でした。

 数年後、今度はコロナ禍に見舞われます。チームの練習が制限される中、公園で練習していると同じように練習場所を求めてきた高校生に出会いました。彼らが身に着けていたTシャツには“唯一球”。舞鶴生なら誰もがわかる言葉だといいます。自然とノックが始まり、一緒に白球を追いました。束の間の後輩たちとの時間は「同じ野球人として楽しかった」と振り返ります。

 浦和学院戦も「こんな日が来るなんて」と聖地で躍動する“仲間”の姿をうれしそうに見つめました。「最高の場所で最高の同窓会をさせてもらいました」。昨秋に現役引退したものの、母校の甲子園出場という夢がかなった花田さん。新たな歴史を刻んだナインに温かい拍手を送りました。

 ◇市川 いずみ 京都府出身のフリーアナウンサー兼ピラティスインストラクター。山口朝日放送時代に高校野球の実況で「ANNアナウンサー賞最優秀新人賞」を受賞。昨年からは早稲田大学大学院スポーツ科学研究科に在学し、野球選手の障害予防について研究中。

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