斎藤佑樹氏特別手記 僕にとって甲子園はいつでも18歳に戻れる「タイムマシン」

[ 2022年3月20日 05:30 ]

第94回選抜高校野球大会第1日 ( 2022年3月19日    甲子園 )

06年、夏の甲子園で優勝しを決め、歓喜の斎藤佑樹氏
Photo By スポニチ

 昨季限りで日本ハムでの現役生活に別れを告げた斎藤佑樹氏(33)が19日、センバツ開幕に合わせスポニチ本紙に特別手記を寄せた。早実(東京)のエースとして06年に春夏連続甲子園出場し、夏は駒大苫小牧(北海道)と引き分け再試合の末に全国制覇。高校球界のレジェンドは何を感じたのか。

 甲子園は自分の人生を良い意味で変えてくれた場所。小学校4年生だった1998年の夏。松坂大輔投手(橫浜)の優勝を見て憧れ、2006年夏には自分も優勝できた特別な場所です。現役を引退して初めて迎えた甲子園ですが、これまでと同じように心は熱くなりました。立場は変わっても高校野球に対する思いは変わっていないのだと思います。

 3試合ともに好ゲームでした。開幕戦の第1試合に登場した浦和学院の森監督は早大野球部の2年後輩。初めての大舞台での采配なのに、とても落ち着いていた。その姿に感動しました。自分は高校3年のセンバツが甲子園初出場。人生で一番というぐらい緊張したことを今でも覚えています。それなのに先発の宮城投手、そして相手の大分舞鶴の奥本投手も、全く緊張を感じさせることなく自分のスタイルで投げ続けていた。凄いことだと思います。

 甲子園は先輩方がつくられてきた歴史そのもの。現役を引退し、これまで以上に「甲子園は、どんな場所ですか?」という質問を受けることが多くなりましたが、僕は「タイムマシン」だと思います。実際にプレーした球児はもちろん、応援していた方々も“あの時、自分はこうだった”とタイムスリップすることができる。先日も「私は野球に興味がなかったけど、甲子園で斎藤さんが投げた試合はテレビで見ていた。今でも映像を見ると受験勉強を頑張っていた当時を思い出します」と言ってくれた方がいました。この先も甲子園大会が続く限り、僕はいつでも18歳に戻ることができる。だから甲子園は世代を超えて愛されるのだと思います。

 倉敷工の福島主将が選手宣誓で「当たり前だった日常が失われて3年がたちます」と語っていたように、今の高校生たちは高校生活のほとんどがコロナに影響を受けているでしょう。部活動だけでなく、クラスメートたちと親睦を深めるための多くのイベントが中止になったかもしれません。必死に、ひたむきに努力を重ねてたどり着いた舞台。楽しんでください。応援しています。(元日本ハムファイターズ投手)

 ◇斎藤 佑樹(さいとう・ゆうき)1988年(昭63)6月6日生まれ、群馬県太田市出身の33歳。早実では3年春の甲子園で8強、夏は全国制覇を果たした。早大では第100代主将を務め、リーグ戦通算31勝。10年ドラフト1位で日本ハム入団。21年限りで現役引退した。通算成績は89試合で15勝26敗、防御率4・34。右投げ右打ち。

続きを表示

2022年3月20日のニュース