和歌山東 延長史上最多の7点!ど派手に咲いた初陣1勝 聖地で花開いた“魂の野球”

[ 2022年3月20日 05:30 ]

第94回選抜高校野球大会第1日第2試合・1回戦   和歌山東8-2倉敷工 ( 2022年3月19日    甲子園 )

<倉敷工・和歌山東>11回、此上の右前適時打で生還した二塁走者・野別はジャンプ(左は倉敷の投手・高山)(撮影・井垣 忠夫)
Photo By スポニチ

 センバツ高校野球が開幕し1回戦3試合が行われた。第2試合では春夏通じて初出場の和歌山東が延長11回に一挙7点を奪って、倉敷工(岡山)を破った。延長戦での1イニング7得点は春夏最多というド派手発進。和歌山県勢の初出場初勝利は82年の大成(現海南高大成校舎)以来、40年ぶりだった。開幕戦では浦和学院(埼玉)が7年ぶりに初戦を突破。九州国際大付(福岡)はサヨナラ勝ちで2回戦に進んだ。

 圧巻の初陣星となった。和歌山東が11回に打者11人を送り込み、春夏通じて史上最多となる延長での1イニング7得点。記念の1勝を呼び込んだのは、獅子奮迅の働きをしたエースだった。変則サイド右腕の麻田一誠は、2度の再登板など四つのポジションを行ったり来たり。めまぐるしい起用にも冷静さを失わず、計9回128球を4安打1失点に封じた。

 「低めに集まった球で、打たせて取る投球ができたと思います」

 先発し、1―1の8回1死一、二塁で降板するまで、被安打はわずか2本。右打者のタイミングを狂わせ、右左を問わず内角を強気に突いた。

 驚くべきはマウンドを譲った、その後だ。公式戦で一度も守ったことのない二塁へ回ると、2死からは同様の遊撃へ。再登板で9回先頭から1回1/3を零封すると10回途中からは右翼に就き、11回2死から再々登板して試合を締めた。

 「投手の時は自分が絶対抑えてやろう、他のポジションでも自分が絶対さばいてやろうと思ってました」

 智弁和歌山の高嶋仁名誉監督をまねて、ベンチでは真ん中に仁王立ちする米原寿秀監督。そんな指揮官が昨秋の和歌山大会決勝から掲げてきたのは“魂の野球”だ。神髄は「自分が持っているものを全て出すこと」という。一塁アルプスで勇ましく揺れる、その4文字が刻まれた新横断幕もエースを奮わせた。麻田は言う。

 「自分なりには(魂の野球が)できたんじゃないかと思います。まだ、70点ぐらい」。チームとして掲げる8強入りをかけた浦和学院との2回戦で、残り30点を加える。(北野 将市)

 ◇麻田 一誠(あさだ・いっせい)2004年(平16)4月10日生まれ、滋賀県野洲市出身の17歳。北野小2年から野洲キッドで野球を始め、野洲北中では守山リトルシニアに所属。和歌山東では2年春から背番号18でベンチ入りし、2年秋からエース。1メートル75、74キロ。右投げ左打ち。

 《過去は1回6点が最多》和歌山東が延長11回に一挙7得点。甲子園では59年夏に西条(15回)、61年夏に倉敷工、報徳学園(ともに11回)、80年春に秋田商(10回)が記録した各6点を上回る延長回での1イニング最多得点記録になった。麻田一誠が投手、二塁、遊撃、右翼と4つのポジションでプレー。19年夏の中京学院大中京・元謙太(現オリックス)が左翼、右翼、投手、一塁を守って以来。春に和歌山県勢が岡山県勢に勝利するのは60年海南3―2関西(延長10回)以来62年ぶり。

続きを表示

この記事のフォト

2022年3月20日のニュース