球団記録更新の中日・大野雄 「菅野もしんどかったんやと思う…」 次はプロ野球記録更新に挑戦

[ 2020年10月23日 05:30 ]

セ・リーグ   中日1-0DeNA ( 2020年10月22日    ナゴヤドーム )

<中・D21>8回2死二、三塁、代打・楠本を空振り三振に抑え、ガッツポーズする大野雄(撮影・椎名 航)
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 中日の大野雄大投手(32)が22日、DeNA戦で2試合連続、今季6度目の完封で15年以来、自身5年ぶりの2桁10勝目。連続イニング無失点記録も「45」まで更新し、56年に大矢根博臣がマークした40回1/3の球団記録を64年ぶりに塗り替えた。開幕当初の不振から見違えるような快進撃となった。

 お立ち台の最後。心の底から出た一言だった。「今日だけは褒めてください!」。大野雄が叫び、ファンも呼応した。投げるたびに歴史を塗り替える。12球団で独走の今季6度目の完封で挙げた10勝目の味は格別だった。

 「投げる前から“4回1/3で新しい記録が生まれる”と知っていた。あまり意識したくなかったが、意識してました。でもチームが勝ったことがうれしい」

 9月15日の広島戦の2回から36イニング連続無失点で迎えた登板。記録更新が懸かった5回も宮崎を無死一塁から併殺打に打ち取るなど無失点で56年・大矢根がマークした40回1/3の球団記録をあっさり塗り替えた。最大にして唯一のピンチは8回2死二、三塁。一打逆転の場面で代打・楠本を2球で追い込みながら「だいぶ力んだ」と直球が浮きファウルで粘られた。8球目、こん身のフォークで空振り三振。ど派手なガッツポーズを披露したが「あそこを抑えても最後まで行く気持ちだった。冷静さと、あと1イニングという気持ちだった」と振り返る。冷静と情熱の投球で初回にもらった1点を守り切った。

 エースについて回るのは「記録」という重圧。試合後、脳裏に浮かんだのはリーグ連覇を目前とする常勝軍団のエースだった。「菅野投手も毎週こんな感じでしんどかったと思う…」。コロナ禍で難しい調整を強いられながら開幕から13連勝を記録した右腕に対する畏敬の念。ただ、菅野の記録は止まったが、左腕の連続イニング無失点記録は「45」で継続中だ。プロ野球記録は同じ左腕で通算400勝の金田正一(国鉄)が58年にマークした64回1/3。更新も夢ではない。

 「あと何試合投げられるか分からないけどチームのために腕を振るだけ」と大野雄。チームは最近11試合を10勝1敗で貯金7。何より歴史の扉を次々とこじ開ける左腕の姿に、ファンは酔っている。(徳原 麗奈)

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