阪神 メッセンジャー 涙1分の感謝 引退正式表明「体が悲鳴を上げ限界」

[ 2019年9月19日 05:30 ]

引退会見で言葉を詰まらせ涙を流すメッセンジャー(撮影・大森 寛明)
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 阪神のランディ・メッセンジャー投手(38)が18日、西宮市内のホテルで引退会見を開いた。右肩の状態などコンディション面の悪化を決断の大きな理由として挙げ、甲子園のマウンドに思いをはせると号泣。初めて見せた涙に、タテジマのエースとしての強い誇りがにじんだ。29日の中日戦(甲子園)で引退試合が行われることが決定し、聖地でファンに最後の投球を見せる。

 10年間の「思い」がメッセンジャーの頬を熱く伝った。甲子園とはどんな場所だったか―。会見でそう問われると約1分間、答えに窮し、肩を震わせた。

 「本当に大きな意味を持った場所というか。そういう思いがある」。絞り絞す言葉は、抽象的でも、深みがあった。エースという称号のもと、幾多の声援を浴び、感情を露わにしてきた尊い自己表現の場。見てきた景色は、絶景だった。まだまだ、ずっと、上がっていたかった。

 12日の2軍戦登板翌日の引退表明。「まだやりたい気持ちもあるけど自分の体、腕がもう潮時だと言っている。今がその時だと思って。ボロボロの中で投げるのが想像以上に苦しかった」と電撃的な決断の真相を明かした。最後で最大の目標としてきた日本通算100勝まで2勝に迫ったところでの“降板”には、独特の表現で悔しさもにじませた。

 「(通算262試合登板で)勝敗つかずというのが81ある。その81の中のね、2つでいいんでね、勝ちに戻ってくれたらと思うと非常にちくしょう!と思う気持ちはある」

 ユニホームを脱ぎ、やっと振り返ることができる。「6度の開幕投手、それは誇れるもの」とし、キャリア最高の瞬間には「最大のライバル同士で戦って、最高の思い出」と、14年のCSファイナルステージで巨人に4連勝して日本シリーズに進出したことを挙げた。一方で「最下位で終わった年(昨年)はつらかった」と、猛虎の盛衰に一喜一憂してきた濃厚なキャリア。大黒柱の矜持だった。

 仲間であり、壁として立ちはだかってきた若手にも言葉を送った。「一生懸命頑張っていれば必ず良いことが起こると思うし、限界を決めずに追い込める所まで追い込んでしっかり練習するように言いたい」。チームに残してきた有形無形なものは、1つじゃない。

 会見には本人の希望でユニホーム姿で出席した。「後2回しか、このユニフォームを着れないのかなと思うと、やっぱり着とこうかなという思いがあったので」。29日に予定される引退試合が、最後のタテジマ姿になる。

 「皆さんに覚えてもらえるような、心に残るような投球をしたい」。最後まで「心」に訴えかける投球スタイルは変わらない。脳裏に、胸に、聖地に…ランディ・メッセンジャーを焼きつける。(遠藤 礼)

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2019年9月19日のニュース