94年「桑西旋風」の立役者 あの“小さなエース”は患者のためにフル回転

[ 2019年3月28日 09:30 ]

94年に初出場で4強に導いた伊藤さん
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 【平成センバツヒーロー あいつ今何してる?(5)】待ち合わせに指定された場所は名古屋から電車で30分ほどの街にある病院だった。1994年(平6)、初出場で4強入り。「桑西旋風」の中心にいた1メートル64の小さなエース、伊藤龍太さん(42)は今、地元・三重県の隣、愛知県で看護師をしている。

 和合病院。軟式野球界ではその名を知らない者はいない強豪中の強豪だ。愛知工大でも野球を続けた伊藤さんは「これからは福祉や医療の時代だと思った。さらに野球もやれるのであれば」と00年に加入した。1年目から先発、抑えにフル回転し、同年の富山国体では準優勝に貢献した。

 病院で看護助手をしながら看護学校に通学、さらに野球部のエースも担うという超多忙な時期も「スタッフも理解があってやりやすかった」と乗り越え、30歳で国家資格を取得した。32歳で引退した後は仕事に専念。「患者さんのケアやコミュニケーションは楽しいし、やりがいも感じている」。優しくて頼れる看護師として医師や同僚、患者から慕われている。

 野球からはやや遠ざかっているが、17年秋に動きがあった。1学年下の後輩でセンバツでは二塁手だった中西史一さんが母校・桑名西の監督に就任したのだ。「一度くらいは顔を出してくださいと言われているので今度行ってみようかな。ノックバット振れるかな」。春の訪れとともに野球の虫がうずきだしている。(八田 朝尊)

 ◆伊藤 龍太(いとう・りゅうた)1976年8月3日生まれ、三重県出身の42歳。桑名西で94年センバツ4強。初戦から3試合連続完投勝利を飾った。夏は三重大会準決勝で敗退。愛知工大に進学し1年春からベンチ入り。2年秋には明治神宮大会出場に貢献した。現在は和合病院精神科で看護師を務める。既婚。

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