【眠れる虎のプライド・1】金本監督続投 終戦…来季勝負の4年目へ

[ 2018年10月5日 10:00 ]

セ・リーグ   阪神1―2ヤクルト ( 2018年10月4日    甲子園 )

<神・ヤ>5回、代打の鳥谷(右)は中前適時打を放ち球団新記録となる2065安打を達成しベンチに戻り金本監督と握手を交わす (撮影・奥 調)
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 阪神は4日のヤクルト戦(甲子園)に敗れ、クライマックスシリーズ(CS)進出の可能性が完全消滅した。金本知憲監督(50)は就任3年で2度目のBクラスが確定。それでも、その手腕に託された「超変革」は道なかば。スポニチ本紙では「眠れる虎のプライド」と題し、昨オフに新たに3年契約を結んだ指揮官に対する球団の変わらぬ信頼と期待、4年目シーズンへ向けた虎党からの叱咤(しった)激励を、2回で論じる。

 甲子園で今季37度目の黒星を喫し「終戦」の時を迎えた。金本監督は「受け止めます」と話した上で「(来季への課題は)まずは打線でしょう。でも全部じゃないですか。打線もすべて立て直していかないと」と言葉を継いだ。

 金本阪神3シーズン目で2度目のBクラスが確定。それでも15年オフに三顧の礼で招へいした指揮官に対する球団の信頼は揺るがない。「超変革」を目指す姿勢にブレもない。その実現へ向け、来季以降もチームの指揮を託す。本紙の単独取材に、球団首脳はハッキリと言い切った。

 「監督を代えるとかは考えたこともありません。(昨オフに)3年契約を結んでいるんですから。そうでないと今年までの3年間が無駄になります。中途半端で(超変革が)終わってしまいます。金本監督には契約通り、やってもらうつもりです。普通なら10年かかるところを、金本監督に若手を鍛えてもらって(まずは)5年で形にしてほしいということです。その方針は何も変わりません。どこよりも選手を鍛えてほしいと思っています」

 目先の順位も大事だが、それよりも若手育成を最優先する――。3年前、球団はその決意で、金本監督を口説き落とした。ある球団幹部は「3年連続最下位でもいい。チームを変えてほしい」とまで言ったという。それだけの熱意で招いた指揮官に、来季以降もチームを託すのは当然の流れだ。そうでなければ逆に、電鉄本社と球団の覚悟が問われる。

 指揮官に期待するのは、今も変わらず、生え抜き若手野手の育成だ。今季は新助っ人では球団史上最高額の推定年俸3億4000万円で獲得したロサリオが期待を裏切り、構想が早々に瓦解した。糸井は負傷、福留は疲労蓄積と、頼みの主力もシーズン終盤に向かう途上でパフォーマンスが低下。得点力不足が目下59勝75敗2分け、借金16の低迷に直結している。一方でシーズン中盤からロサリオに代わって働き場所を与えられた若虎たちは、随所に輝きを放った。

 今季、台頭の兆しを見せた大山、北條、陽川に加え、昨季20本塁打の中谷、一昨年の新人王・高山。今は将来の主軸候補たちを1軍の試合に起用することで場数を踏ませ、経験を積ませている真っ最中だ。現場もフロントも我慢の時間を過ごしている。その時間が辛抱できないなら「超変革」など絵に描いた餅だったことになる。

 今はチームをいったん解体し、土台から再構築するという難題を金本監督の手腕に託している。2度のBクラスに打撃不振。責任の所在を問う無責任な雑音も節操なく飛び交うが、金本阪神の「超変革」は、まだ道なかばだ。思い通りに行かなくて、当然なのだ。

 この日の敗戦後、谷本修球団本部長も「もちろん、そう(金本監督は続投)です。そのつもりです」と言葉に力を込めた。電鉄本社、球団、チームは今まで通り、三位一体となって金本阪神4年目に向かう。すべては、新たな「阪神タイガース」を生み出すためだ。(惟任 貴信)

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