巨人・菅野 鈴木啓示以来40年ぶり8完封「今日は監督のために」

[ 2018年10月5日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人4―0広島 ( 2018年10月4日    マツダ )

<広・巨>完封勝利の菅野(右)は小林と笑顔でタッチ(撮影・荻原 浩人)
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 巨人の菅野智之投手(28)が4日、広島戦でリーグトップタイの15勝目を3戦連続となる8度目の完封で飾った。8完封は78年鈴木啓示(近鉄)以来40年ぶり。高橋由伸監督(43)から辞任することを報告されて臨んだ一戦で自身初の200投球回、10完投に到達。沢村賞の項目を全てクリアし、2年連続受賞をほぼ確実にした。チームも4位・DeNAに1ゲーム差をつけ、2年ぶりのクライマックスシリーズ(CS)進出に前進した。

 8度目の完封はこれまでと違った。高橋監督への思いが詰まっていた。菅野は「自分たちの力が及ばなかった」と声を絞り出し、こう続けた。

 「誰かのために投げようというのはあまり思わないが、今日は監督のために投げようと思いました」。三塁を踏ませず無四球で散発4安打。11三振を奪って自身初の200奪三振に到達し、指揮官も「凄いとしか言いようがない」とうなった。勝利への執念は6回のスクイズにも込められた。

 出会いは18年前の00年3月。10歳の菅野少年は当時プロ3年目の高橋監督と初めて出会った。「とにかく緊張しました」。野球の話はできなかったが、写真を撮ってもらい「それだけでもう十分でした」。12年にドラフト1位でプロ入りし、1年目の13年に再会。「初めてお会いした時には、一緒のチームで野球ができる日が来るなんて夢にも思っていなかった」と感激した。

 1年目で13勝を挙げ、リーグ連覇に貢献。喜びを分かち合った先輩から「これからいろんなものを背負っていくんだよ。このチームの主力でやっている人はみんなそう。そういう存在にならないと」とエールを送られた。

 その3年後。ルーキーとベテランの関係はエースと監督という立場に変わった。16年3月25日。1年目の高橋監督は「監督になったときから智之と決めていた」と開幕投手に指名した。勝利で応えた菅野からウイニングボールを渡されると「やっぱりうれしい。最初の試合でもらえたので」と笑みを浮かべた。

 その2年後。リーグトップの広島・大瀬良に並ぶ15勝目を挙げ、自身初の10完投、200投球回を達成。沢村賞の7項目を全てクリアし「去年から(全項目を)狙って沢村賞を獲ると言っていたので」と2年連続受賞をほぼ確実にするほど頼れるエースに成長した。

 1勝9敗1分けだった敵地での最終戦を白星で飾り、4位・DeNAに1ゲーム差をつけた。「マツダでゼロに抑えて勝ったことはCSに向けて弾みがつくし、大きい」。エースの気概。状況次第では中4日となる9日の阪神との今季最終戦登板も視野に入れている。(岡村 幸治)

 ▼鈴木啓示氏(スポニチ本紙評論家、78年近鉄でシーズン8完封)完封は先発投手がまず目指すところ。相手投手より先に点をやらないように投げていった、そのゴールにある。先発は5回まで投げたらいいという時代。周りの空気が違うのに、一人昔の空気を吸ったような記録で立派、立派。

 《鈴木啓示以来40年ぶり》菅野(巨)が3試合連続、今季8度目の完封勝利。シーズン8完封以上は78年鈴木啓(近鉄=8完封)以来40年ぶり。巨人の最多記録は1リーグ時代の43年に藤本英がマークした19完封だが、2リーグ制後では50年別所(8完封)、63年伊藤(10完封)に次いで55年ぶり3人目になる。また、菅野は昨年4〜5月に3試合連続完封を記録。2リーグ制後、3試合以上の連続完封を1人で2度は58、65年金田(国鉄、巨=4試合、3試合)、64、65年米田(阪急=3試合2度)、65、66年バッキー(神=3試合2度)に次ぎ4人目。

 《ベイ連敗で3位確定》セの3位争いは巨人とDeNAの2球団に絞られた。巨人のCS進出は早ければ7日にも決まるが、条件はDeNAが6、7日に連敗すること。一方、DeNAのCS最短決定日は9日で、DeNAが6〜9日に3連勝、巨人が9日に敗退などで決まる。

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