ゴジラの言葉で分かった気がする 大谷がエンゼルスを選んだ理由

[ 2018年9月19日 12:37 ]

笑顔を見せる大谷(AP)
Photo By AP

 8月中旬から約1カ月間の米国出張で、主にエンゼルスを取材した。行く前から気になっていたのが、今さらながら大谷がエ軍入りを選んだ一番の理由。昨年12月の入団会見では「(面談で)エンゼルスと縁みたいなものを感じた」と話していた。分かるような、分からないような…。

 球団との間に目に見える接点はないため、この発言には文字通りの「縁」よりも、大谷が「感じた」ことの方に重きがあったのだと思う。要はフィーリングということか。その答えに近づくヒントがまず、別の場所で得られた。大谷の打撃フォームを分析してもらうため、自身も10年にエ軍でプレーした松井秀喜氏(ヤンキースGM特別補佐)を9月初旬に取材した時だ。

 エ軍のチームの現状に話が及んだ後、ビリー・エプラーGMの話題になった。エプラー氏のヤンキースGM補佐時代に親交がある松井氏は「彼にはいいチームをつくってほしいと思います。よく知っているから。いい人です」と人柄を称えるとともに、エールを送った。誠実な人柄や仕事ぶりは、米球界関係者の間でもよく知られているという。

 現在の労使協定により、25歳未満でのメジャー移籍は契約金も年俸も大幅に制約があった。それでも2年待たずに渡米した価値観を持つ大谷は、エ軍の環境面や条件面よりもまず、松井氏と同様、エプラー氏の人間性にひかれたのではないか。右肘の故障こそあったが、二刀流挑戦を容認され、1年目に投手で4勝、打者で20本塁打。じん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受けるか否かも含めた今後の決断についても全て任されている現状を見ると、大谷の球団選びは間違っていなかったと思う。

 蛇足だが、エプラーGMは、数日前にたどたどしい英語で直撃した初対面の日本人記者の複数の質問にも、丁寧に答えてくれた。私も彼の人柄に心をつかまれた一人である。(記者コラム・大林 幹雄)

続きを表示

2018年9月19日のニュース