松井裕「悔しい」黒星デビュー、オリの「足」にやられた

[ 2014年4月3日 05:30 ]

<楽・オ>6回3失点に悔しそうな表情でベンチに戻る松井裕

パ・リーグ 楽天1―7オリックス

(4月2日 コボスタ宮城)
 プロの1勝はやはり難しい。それは怪物ルーキーであっても同じだ。試合後、口を固く結んだ楽天・松井裕の表情がその心中を物語っていた。

 「悔しい。普段通り行こうと思ったけど、緊張してしまってテンポが悪くなってしまった。特に初回はバッターにばかり意識がいってしまった」

 初回。オリックスの「足」にいきなりプロの洗礼を浴びた。左前打を許した先頭のヘルマンに二盗、三盗と立て続けに決められる。そしてペーニャに適時打を浴びた。得点にはつながらなかったが、ペーニャにも二盗を許した。

 走者を置いても右足を大きく上げるため、完全にモーションを盗まれていた。走者のリードを防ぐためのけん制も、松井裕には難がある。春季キャンプ中のバントシフト練習でも一塁にけん制を投じると、踏み出す右足が正しく一塁方向に向いておらず、審判から何度か「ボーク」との指摘を受けていた。

 森脇監督はソフトバンクで内野守備走塁コーチを務めていた07年、楽天・田中(現ヤンキース)のプロ初登板時に、三塁コーチとして自らサインを出し、田中から3盗塁を決めて2回途中でKOしている。「田中が(ベンチに戻って)タオルで顔を覆っていたのを今でも覚えているよ」と振り返ったが、いわばマウンドさばきに不安のある高卒新人に対して、足攻は常とう手段。松井裕が5四死球と制球を乱し、暴投も記録した遠因がそこにあったことは否定できない。

 それでも、松井裕は2回以降は粘りの投球で援護を待った。5回も2四球などで1死二、三塁とされたが、ペーニャ、谷を連続三振。怪物の片りんは見せた。崩れそうで崩れない。だからこそ、オリックスは6回1死三塁でスクイズで加点。森脇監督は「高卒といっても、外野フライを打つのも難しいし、空振りも取れる投手なので、スクイズを使った」と話した。

 112球で降板した松井裕は「6回3失点は数字だけ見ると普通だけど、この内容では攻撃がリズムに乗れない」と猛省した。課題の多く出たデビュー戦だったが、収穫もあった。初回、糸井を外角低め148キロの直球で見逃し三振に打ち取ったように「いいボールはあった。それをコンスタントに投げられるようにしたい」と話した。星野監督も「5回までは1失点だし、これからが楽しみ。こういう経験を生かしてどんどん成長してほしい」と変わらない期待をかけた。

 「(ファンの)歓声は聞こえてました。期待に応えられなくて申し訳ないです。しっかり調整して次はチームの勝利に貢献できる投球をしたい」。18歳のプロ野球人生はスタートしたばかりだ。

 ▼オリックス・佐竹外野守備走塁コーチ 隙があったら全員が走る意識だった。初回から足を使っていけたので、松井君も走者を気にしてくれた。

 ≪QS達成も≫高卒新人の松井裕(楽)が6回3失点の黒星デビュー。楽天の高卒ルーキーでプロ初登板先発は07年田中、12年釜田に次いで3人目だが、田中は1回2/3を6失点、釜田は3回3失点で降板。敗れたものの、責任投球回の5回をクリアしたのは松井裕が初めてだ。また、高卒に限らず楽天の新人で初登板先発し5回以上を投げたのは

年  投 手 回 自 勝敗
09 井 坂 6 3 ○ 
11 塩 見 6 0 ○ 
13 則 本 61/3 4 ● 
14 松井裕 6 3 ●
 
 松井裕は4人目。クオリティースタート(6回以上自責点3以下)で敗戦は球団初と打線の援護に恵まれなかった。なお、田中は先発4試合目、釜田は同じく2試合目で初勝利を挙げたが松井裕はどうか。

続きを表示

この記事のフォト

2014年4月3日のニュース