福留 復活150メートル弾 師・佐々木恭介氏に“全快”報告

[ 2013年8月16日 06:00 ]

<神・広>4回2死、福留は先制の右中間ソロを放つ

セ・リーグ 阪神3-1広島

(8月15日 京セラD)
 どこまで飛んでいくのか。長い、長い滞空時間が、心にはびこっていた不安を取り除いてくれた。0―0の4回2死。阪神・福留は、左膝手術から完全復活を告げる復帰後初アーチを描いた。

 「1打席目、感じは悪くなかった。よく知っている投手ではなかったので、いい球が来たらいこうと思っていた。リハビリして、左の打撃投手にも(鳴尾浜に)残ってもらったりして協力してもらったから。よかった」

 初球だった。左腕・中村恭の甘く入った直球を一閃(せん)。右中間席上段5階に飛び込む5号ソロ。推定150メートルの特大弾だ。

 「それは後で聞いた。どれだけ飛ばしても1点は1点だから」

 淡々と振り返る姿も、復帰後初安打が本塁打というのも、この男らしい。

 左膝内側半月板クリーニング手術を受けた5月28日、昼下がり。病室のベッドで全身麻酔から目を覚ますと、人の気配を感じた。師と仰ぐ佐々木恭介氏(元近鉄監督)だった。「来てくれたんですか…」。まだ麻酔は切れていない。意識は朦朧(もうろう)としたまま。それでも、必死に言葉を紡ぎ、会話を成立させようとする自分がいた。心配をかけまいと気丈に振る舞った。

 後日、会話を思い出そうと思っても、全く思い出せなかった。佐々木氏からは「憎まれ口を叩く孝介を黙らせるには麻酔が一番だな」とからかわれた。

 気付けば、いつもそばにいてくれた。中日時代。初の首位打者を獲得した02年は打撃コーチとして。カブスに移籍した08年は臨時コーチとして。そして、今回も――。

 フリー打撃を再開し始めた7月10日。2軍本隊は福岡に遠征中。閑散とした鳴尾浜球場まで足を運んでくれ、フォームを確認してくれた。「スイングの軌道が線になっているから、もう少し点でとらえる意識を強くした方がいいんじゃないか」。実戦復帰となった6日のウエスタン・ソフトバンク戦(鳴尾浜)でも、人目につかぬようバックネット裏から静かに見守ってくれた。

 「野球人生の中で色々なきっかけを与えてくれた人。今まで色々な方にお世話になったけど、やっぱり特別な人だよね。いつも気にかけてもらって本当にありがたい。技術とかでなく、気持ちの部分じゃないかな」

 二人三脚で歩いてきた道が、4月28日のDeNA戦(横浜)以来、109日ぶりのアーチという形で結実した。そして、関わる全ての人への気持ちも、もちろん忘れていなかった。

 「色んな人に助けてもらった。今の段階でプレーできているんだから。感謝が大きいホームランだった」

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