元日本代表の近鉄・正面健司 今季限りで引退、華のある突破でファンに支持された名手もついに決断

[ 2021年4月16日 05:00 ]

近鉄・正面健司
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 ラグビー・トップチャレンジ近鉄のバックスで、元日本代表の正面健司(37)が今季限りで引退することが15日、分かった。社会人での15シーズンを振り返り「代表2キャップしかない自分を必要としてくれるチームがあって、この年までできたのはありがたいこと」と周囲への感謝を口にした。今シーズンはここまで、脳しんとうや脚の故障に苦しみ、出場がなかった。

 昨秋、ユニホームを脱ぐことを考え始め、年が明けてから妻・あゆ美さん(35)に決心を伝えた。走力は衰えていないものの、頭部の不安とケガが相次いだことが引き金になり、「もともと少ない闘争心が枯渇した。争いごとは苦手。ボールを奪い合うのではなく、分け与えたいタイプなので」と、独特の表現で決断した経緯を明かした。

 5回の花園優勝を誇る東海大大阪仰星が初優勝した99年度、1年生レギュラーとして大活躍し、脚光を浴びた。同大1年時の02年に日本代表初キャップを獲得した。トヨタ自動車には3年在籍。プロ転向を求めて09年に神戸製鋼に移籍したものの、当時のルールで最初の1シーズンは出場できなかった。

 空白期間がありながらも、司令塔もFBもWTBもできる万能バックスとして長く活躍し、トップリーグ通算47トライ(歴代13位)を挙げた。昨季から下部リーグの近鉄に在籍。華がある突破と温厚な人柄で、ファンに支持された名手だった。

 トップリーグ通算118試合に出場した。神戸製鋼時代の15年11月のキヤノン戦で節目の100試合出場を果たしたことを思い出に挙げた。「家族で一緒に写真を撮れたことが一番記憶に残っている」。小学5年から夢中になったラグビー人生を振り返り、「自分にないものがチームメートにあったりして、補い合いながら高みを目指すのがおもしろいところ」と、楕(だ)円球に別れを告げた。

 今後は、自家焙煎をしたコーヒー豆のネット販売をする予定。専用の機械を自宅に購入済みで「“正面ブレンド”をつくりたい」と意気込む。子どもや妊娠中の女性、睡眠前でも飲めるように、ノンカフェインのものも手がける計画でいる。

 チームは18日に宗像サニックスと決勝トーナメント1回戦を戦う。
 
 ◆正面 健司(しょうめん・けんじ)1983年(昭58)5月1日生まれ、大阪府守口市出身の37歳。小学5年で競技を始める。同大1年の韓国戦で初めて日本代表に選ばれ、通算2キャップ。トップリーグ通算118試合出場。ヘッドキャップをトレードマークにSO、FB、WTBなどで出場した。家族は妻・あゆ美さん(35)と男の子2人。神戸市の小学校にラグビーボールを寄贈する取り組みもする。1メートル75、85キロ。

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2021年4月16日のニュース