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ここがふるさと オイカワで学ぶ“生きる力” 自然に触れて命の大切知る若者たち

[ 2023年8月15日 07:08 ]

美しいオイカワを連発した吉田海人くん
Photo By スポニチ

 【釣り人掲示板】埼玉県入間市の中央を流れる霞川は筆者が生まれ育った川だ。入間市から依頼を受け“我がふるさと”で不登校の若者らを対象にした「釣り大会」を開催した。みんなで釣ったオイカワと、周囲で採取した野草の天プラの味は格別だった。 (吉田 俊彦)

 近年、家庭事情によりヤングケアラーになる若者や、さまざまな理由から学校教育になじめず不登校になる学生が増えている。地域とのつながりが希薄になり、社会から孤立してしまうことが問題となっているのをご存じのことと思う。今年4月に発足した「こども家庭庁」は、家庭、学校以外の安全で安心な第三の居場所づくりを掲げているが、まだ始まったばかり。

 25年ほど前、筆者は当時禁漁河川だった霞川の解禁運動を起こした。市民が故郷の川で釣りを体験し水辺への郷土愛を持つことの重要性を自治体に訴え続けた。その結果、2004年(平16)に入間漁協は霞川を解禁し、筆者はふるさとの川という居場所を取り戻した。以来、NPO法人「バーブレスフック普及協会」を主宰し、郷土愛を育むことを目的に子供の釣り教室を実施しオイカワの人工産卵床設置にも関わってきた。

 そんな筆者が入間市から「子供の居場所運営事業」の一環として「釣り」を委託されるとは想定外のこと。子育て支援&青少年育成活動NPO法人「AIKURU」の村野裕子さん=写真=とタッグを組み、テーマを「釣り大会&食育」にすることにした。村野さんは釣りが大好きで、身近な食材を利用したサバイバル料理の達人でもある。大会告知のポスターは、中学生以上を対象にした居場所事業「AIKURU FREE BASE」の若者たちが協力して作ってくれた。うれしかった。

 大会は猛暑の7月28日に開催。午後3時、霞川沿いの豊高橋公園に中学生から20歳までの参加者12人と、スタッフ5人が集まった。釣り大会といっても何かを競うわけではなく、あくまで自然体験イベント。途中から参加する人や、アルバイトのため1時間だけ参加する人などさまざま。とても自由で「お好きにどうぞ」って感じだ。だが、それがいい。餌を付け流れに静かに仕掛けを送り込むと、10センチほどのオイカワが次々と飛びつき子供たちから「小魚いるんだ」と歓声が上がった。

 1時間半ほどで約100匹。参加者全員がオイカワを釣り上げることができた。釣り指導に上州屋新狭山店の小島英樹店長、日本釣振興会の沢田典大さんらがボランティアで駆けつけてくれたおかげでもある。

 村野さんは「生きる力とは食べ物を見つけられる力だ」との考えの持ち主。河原からクワの若葉とヨモギを採取し、どの部分が食べられるのかを若者に伝授していく。そして「釣りを楽しんだ若者たちにこそ、命をいただくことを知ってもらいたい」。食べたい人は自分で釣ったオイカワを自らナイフでさばき、命に感謝していただく。野草とオイカワの天プラは想像以上のおいしさだった。

 生まれ育つ地域の自然で楽しく遊び、おいしくいただく。水辺環境が若者たちの居場所の一つになり、今回の体験が生き抜く力の糧になるのだと筆者は確信した。

 ▼釣況 入間漁業協同組合=(電)042(973)2389。霞川の入漁料は雑魚1日400円、年券は2600円。入漁料は上州屋新狭山店、セブン―イレブン狭山根岸店で購入可。

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