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オイカワで食育 古里を大切に 「釣って食べるまで」地元若者が発案

[ 2022年8月30日 07:11 ]

イベントを企画した村野さん
Photo By スポニチ

 【釣り人掲示板】首都圏から約1時間の埼玉県入間市を流れる入間川支流の霞川は、筆者が生まれ育った川。毎年6月にはオイカワの産卵床を作り、増殖に努めてきた。今回、地元の若者たちの発案で古里の川でオイカワを釣って、河原で天ぷらにして食べてみた。(吉田 俊彦)

 川の魚にとって一番良いのは釣りを禁止することだという意見がある。正論のように聞こえるが、子供たちが水辺体験する機会を失うことは自然への興味も失うことになりかねない。25年ほど前になるが、筆者は当時禁漁河川だった霞川の解禁運動を起こし、市民が古里の川で釣りを体験し水辺に興味を持つことの重要性を自治体に訴え、2004年(平16)に解禁することができた。以後、入間漁協組合員となり、毎年継続して学童の釣り体験教室を実施してきた。しかし、台風来襲とコロナ禍のために3年連続で中止となってしまった。

 落胆する筆者に強力な助っ人が現れた。入間市のNPO法人「AIKURU」の皆さんだ。子育て支援活動と青少年育成活動を事業として行う中で、水辺の遊び体験を積極的に取り入れている希有(けう)な団体。今回は「AIKURU FREE BASE」(中学生以上の若者居場所事業)の一環で、若者自身が「やりたいことを自分たちの手で実現する企画」として古里の川で魚釣りを計画。筆者に入間市民環境講座講師の依頼が来たのだ。企画したのは大学生の村野こころさん(19)。

 金曜日の午後3時、霞川の豊高橋下流に中学生から大学生まで約10人の参加者が集合。オイカワの餌釣りを安全なバーブレスフックを使用して体験した。魚を驚かさないため忍者のように川に忍び寄ってから釣るように、振り込み方を指導。流れの緩い場所に静かに仕掛けを送り込むと、10センチほどの銀鱗(ぎんりん)が次々と飛びついた。しかし、次第に大きなコイが寄ってきて邪魔をする。ポイントやタナを変え、工夫しながら2時間余りで約30匹のオイカワを釣り上げた。

 この日、釣りを楽しんだ若者たちに「命をいただく」ことも知ってもらいたいとの「AIKURU」スタッフの要望で、釣ったオイカワをその場で天ぷらにして食べた。自分で釣ったオイカワを自分の手でナイフでさばき、はらわたを出す若者たち。おそるおそる作業しながら「まだピクピク動いてる!浮袋があったよ」「さっきまで泳いでたのに」「おいしく食べることはこの魚にとって幸せなのかな?」などさまざまな声が上がった。そばにいた大人から「みんなが食べてるものの多くはこうやって誰かの命をいただいているんだね…」という声もかかり、若者たちが考え込む場面があった。これぞ食育である。出来上がった天ぷらは想像を超えたうまさだった。生まれ育つ地域の自然で楽しく遊び、おいしくいただき、その環境が好きになる。きっと若者たちには古里を「大切」に思う気持ちが育まれたに違いない。

 ▼釣況 入間漁協=(電)042(973)2389。漁協では日本釣振興会と協働し、霞川のオイカワの産卵床作りを日釣工「LOVEBLUE事業」の一環として毎年実施している。

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