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【コラム】戸塚啓

J1第1ステージ、ナビスコ杯

[ 2015年6月5日 05:30 ]

 え、もう、という思いを抱いてしまう。

 早ければ7日の日曜日にも、J1第1ステージの優勝争いが決着する。開幕から14試合無敗のJ1新記録を打ちたてた浦和の快進撃が、第15節での優勝決定を現実にした。ペトロヴィッチ監督率いるチームは、すでに勝点34を記録している。このままのペースで1シーズン制を戦えば、勝点70にも手が届く計算だ。2012年、13年、14年の優勝チームは勝点65未満であり、浦和の戦いぶりは称賛に値する。

 それにしても、僕は久しぶりの2ステージ制に馴染むことができていない。そもそも最終節までもつれたところで、今月27日には第1ステージのチャンピオンが決まる。やっぱり、早い。

 3日水曜日に行われた柏対浦和戦は、同日夜のスポーツニュースで取り上げられた。ガンバ対鹿島戦も。関東では各局が取り上げた。FIFAのドタバタや錦織の全仏オープンと重なるなかでハイライト映像がオンエアされたのは、浦和が優勝に近づいているからだろう。1シーズン制なら、結果だけしか伝えられなかったに違いない。

 テレビを含めたメディアの露出を増やし、Jリーグの認知度を高めるのは、2ステージ制へ移行した大きな理由のひとつだ。露出度増はクラブレベルで集客力アップにつながり、スポンサーメリットをはっきりと打ち出すことでJリーグのブランド力を示すことにもつながる。

 順位表の真ん中から下へ目を移すと、勝点差が開いていないことでそれなりの緊張感が保たれている。これについては湘南、松本、山形の昇格3チームの健闘が大きな要因となっている。いずれにしても、2ステージ制になったことによるデメリットは見当たらない。

 悪いことはないのだが、何かこう、居心地が良くないのである。多少なりともメディアでの露出が増えているものの、サッカーにさほど興味のない人たちを置き去りにしたまま第1ステージが終盤を迎え、優勝チームが決まろうとしている気がしてならない。2ステージ制になったことで、どれほどの人が喜んでいるのだろう?と思ってしまうのだ。

 胸のなかで渦巻くモヤモヤとした気持ちは、同じ日に行われたナビスコカップにも理由がある。2ステージ制とACLの陰に隠れてしまい、一般の人に眼に止まりやすいメディアに、まったくと言っていいほど取り上げられていない。新潟、広島、湘南によるグループAの2位争いは、注目に値するトピックだったのだが……。

 ナビスコカップは3日夜のゲームで1次リーグを終了し、ベスト8が出そろった。「え、もう?」と思っている人は、少なくない気がする。(戸塚啓=スポーツライター)

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