藤井王将 最年少名人&羽生九段以来の7冠獲得も「羽生先生の記録は全冠制覇で特別。並べた意識はない」

[ 2023年6月2日 05:30 ]

名人戦第5局第2日 ( 2023年6月1日 )

「名人」と書いた色紙を手にする藤井新名人(撮影・河野 光希)
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 藤井聡太王将が名人を初獲得し、7冠となった。持ち時間が各9時間と、公式戦で最も長い7番勝負への初挑戦もクリアした若き第一人者。対局後の記者会見では「名人」と書いた色紙を手にし、笑顔を見せた。

 以下は対局後の藤井王将と一問一答。

 ――改めて名人の実感は?
 「感想戦が終わって、少しずつ湧いてきました」

 ――谷川17世名人の最年少記録を塗り替えた思いは?
 「谷川先生の記録は素晴らしいものだと思っていたので、結果として更新できたのはうれしく思います」

 ――羽生九段の7冠に続くことができた。
 「羽生先生の記録は全冠制覇なので特別なこと。自分として並べたという意識はないが、名人獲得はうれしく思っています」

 ――今後、8冠に向けて。
 「防衛戦の棋聖戦、王位戦はどちらも佐々木大地七段が相手。とても強い方だと思っているのでこちらもしっかり準備して、いい内容の将棋にしたい。王座戦は挑戦を意識する段階ではなく、少しでも上を目指したい」

 ――師匠の杉本昌隆八段について。
 「師匠とは順位戦C級1組で一緒だった時、師匠は昇級したのに自分は上がれなかった。50代で昇級するのは素晴らしい。その姿を見て来期頑張ろうという気持ちになった。その姿を見ることができたのが今につながったのかなと」

 ――将棋を極める「名人」の域に達したと感じる?
 「自分がそういう域に達したということは現時点では思えないというところもある。名人の言葉にふさわしい将棋が指せるよう今後一層頑張らねばならないという気持ちが一番強いです」

 ――全冠制覇について。
 「現時点ではまだまだ遠いもの。それを目指せること自体、チャンスをつくれたこと自体は光栄なことと思う。それを生かし、少しでも近づけるようなんとか頑張りたい」

 ――名人になって、今までとは違う景色が見える?
 「今までのタイトル戦と比較して持ち時間が長く、その中でしっかり読みを入れて指すことができたと感じる場面もあり、収穫の多いシリーズでした」

 ――今シリーズは5局とも力勝負のような展開を制した。
 「早い段階から構想力を問われた。序盤から一手一手構想を練るのは今まで経験がなく、新鮮でもあり、うまくいったところ、そうでもないところが分かった。指していて楽しい将棋が多かった」

 ――幼い頃に夢見たタイトルを今、手にしての思いは?
 「凄く感慨深いものがあるが、これで終わりではなく、先がある。それを見据えていきたい」

 ≪大盤解説会200人くぎ付け≫対局場となった長野県高山村の「藤井荘」近くにある村の施設には県内外から約200人が集まり、歴史的瞬間を見守った。藤井荘から約4キロ西にある「高山村保健福祉総合センター」では、大盤解説会が開かれた。会場は満席で、ファンらは対局の様子を映す大型スクリーンにくぎ付けになり、長考後の一手に「おー」と感嘆するような場面も。投了の瞬間には大きな拍手が湧き起こった。会場で解説を担当した黒沢怜生六段(31)は「互いが最善を尽くしていた。投了図もきれいで名人戦にふさわしい」と振り返った。富山県魚津市から訪れた魚岸一弥さん(35)は「立ち会えて最高。本当に来てよかった。次は8冠ですね」と興奮した様子だった。

 ▽名人戦 将棋界8タイトルの一つ。挑戦者を決める順位戦は最上位のA級から5クラスあり、約1年間のリーグ戦で行われ過酷。プロ入りすると一番下のC級2組からスタート、昇級を重ねA級で優勝してようやく7番勝負に出られる。藤井新名人も下から2番目のC級1組で1年足踏み。今期、A級ではプレーオフにもつれこんだ末の優勝で挑戦まで6年かかった。優勝賞金額は非公表。8タイトルの中の最高額は竜王戦の4400万円。

◇藤井 聡太(ふじい・そうた)2002年(平14)7月19日生まれ、愛知県瀬戸市出身の20歳。5歳で将棋を始め、10歳で関西奨励会入会。16年に史上5人目の中学生棋士となり、デビューから29連勝の新記録を樹立。21年1月、将棋に専念するため、名古屋大教育学部付属高を卒業目前で中退した。師匠は杉本昌隆八段。

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