上岡龍太郎さん死去 担当記者が見た素顔と思わず笑ってしまった悪口 「緊張と緩和」の人

[ 2023年6月2日 19:53 ]

上岡龍太郎さん
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 失礼を承知で言うなら「ヘソ曲げられたらややこしそうな人」。5月19日に死去していた上岡龍太郎さん(享年81)を、こう表現する人も多くいただろう。

 しかし、2000年に引退するまで、何度となく取材した私は1度たりともイヤな思いをしたことはない。

 忘れられないのは上岡さんとの初対面。占いやオカルト嫌いだった上岡さんが、それが元でトラブルを起こしたか何かの時だった。「コメント取ってこい」。当時の上司に言われ、入社直後だった私はワケも分からず、その日夜に収録を行っていた某テレビ局へ。どういう算段を取り付けたのか、緊張し過ぎていてもう記憶にないが、なぜか上岡さんと2人で話ができることになった。今になって思えば、完全に言いくるめられた感じの取材だったが、その流れで「入社何年目?」「いくつ?」などと逆取材を受けた。

 「この4月に入りました。新入社員です。申し訳ございま…」。答える私の言葉が終わるか、終わらぬうちに、上岡さんはやおら身を乗り出し、あのトレードマークだったメガネをひょいっと頭に乗せたかと思うと「え???それは違う!」と言って笑いながら「老けすぎや」。多分、面と向かって悪口を言われているはずなのに「すいません」と言って大笑いした。

 その後は故・横山ノックさんと2人で司会を務めていた土曜の生番組「ノックは無用!」(75年~97年)。収録後にこの2人を短時間だったが、何となく“囲み取材”するのが関西の芸能記者の慣習だった。ぜいたくな時間だったと今も誇りに思う。そのノックさんが亡くなった後の「お別れの会」。語り草になっている上岡さんの弔辞にもらい泣きした。その帰り。会場を出る上岡さんの囲み取材だった。引退から7年がたっている。答えてくれるのだろうか…。恐る恐る口火を切った私を見て「アンタ、まだ(業界に)おったんかいな」。しんみり取材のはずが、さっきの涙も渇き一人噴き出した。「緊張と緩和」と言うべきか…。いろいろ本当にありがとうございました。(芸能担当・土谷美樹)

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