谷川浩司17世名人、藤井王将も指した高槻の宿でタイトル戦疑似体験に登場 6月18日・山水館で開催

[ 2023年4月2日 11:33 ]

谷川浩司17世名人
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 大阪府高槻市に来秋、ふるさと納税型クラウドファンディングを利用して移転する関西将棋会館の記念品に、谷川浩司17世名人(60)とのタイトル戦疑似体験が登場した。6月18日、ALSOK杯王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)7番勝負でのここ5期連続の対局場、温泉旅館「山水館」で実施。寄付額30万円で、公式戦で使う盤を挟んでの谷川との記念撮影やサイン会、質問コーナー、食事などが用意された。

 1月21、22日の今期第2局。「落ち着いた雰囲気で集中して指せた」。藤井聡太王将(20)=竜王、王位、叡王、棋王、棋聖含む6冠=が摂津峡として知られる当地の印象を語り、挑戦者の羽生善治九段(52)も「高槻市にこんなに風光明媚なところはあるとは」と驚いていた。

 イベント当日は渡辺明名人(38)に7冠目を目指して藤井が挑む名人戦7番勝負第6局終了直後。藤井には今回、谷川が持つ21歳2カ月の史上最年少名人の40年ぶり更新がかかる。その質問コーナーでは谷川に、藤井の更新か更新ならずか、最終局突入かで話題を集めそうな名人戦への感想を求めることもできそうだ。

 「藤井さんに抜かれるのなら光栄です」。3月2日の挑戦権獲得前からそう語ってきた谷川に、では更新失敗のコメントを聞くと「それはちょっと…」と苦笑い。

 83年、加藤一二三九段(83)から4勝2敗で奪取した自身初の名人戦は6月15日に決着した。以来、丸40年での実施に不思議な縁を感じるそうで、「翌16日に(第6局があった)箱根から神戸の自宅へ戻ると、取材やそのアポで、食事をする暇もありませんでした」と回想。タイトル戦疑似体験は10人を募る支援者のみならず、自身にとっても「貴重な経験」と語り、山水館で過去2度務めた立会人とは違う、対局者目線での対局室に期待を募らせた。当日は棋士の勝負服、和服で臨むという。

 《新・関西将棋会館、棋士室は倍の広さに》関西統括として建設に携わる新会館には、次代への思いが詰まっている。その一つが倍ほどに広くなる棋士室。関西には、若手棋士らが奨励会員や女流との練習将棋を通じて棋士室で鍛え上げる伝統がある。その恩恵で、藤井以降27人が誕生した棋士中18人は関西。谷川には、自身以外のタイトルホルダーがほぼ関東という時期が長かっただけに、「現在の関西棋士の活躍につながっている」と伝統の継承を願った。

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2023年4月2日のニュース