坂本龍一さん死去 音楽に影響を与えたのは叔父さん 都内の私立高校で数学の教師だった

[ 2023年4月2日 22:00 ]

坂本龍一さん
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 坂本さんの音楽に大きな影響を与えたのは、母方の叔父、下村三郎さん(故人)だった。

 都内の私立高校で数学の教師を務めていた下村さんは大の音楽好きでクラシックのアルバムを数百枚自宅に所有していた。ここに坂本さんは幼少期から足繁く通い、レコード鑑賞にふけった。「人生で最も影響を受けた音楽家」としていたドビュッシーに出合ったのも下村さんのコレクションだった。

 坂本さんの母方の祖母美代さんは教育熱心で音楽に力を入れていた人。そんな母親の下、下村さんは食器をわざと落として割ってその音を楽しむという情操教育を受けていた。

 坂本さんが2020年に発表したコンプリートアートボックス「2025」の中には、ニューヨークの自宅で陶器を割る音を採取して制作した曲「fragments,time」があるが、下村さんから幼いころに教わった遊びが根底にあったのかもしれない。

 坂本さんには「音楽との出合いは子供時代に聴いたものが決定的になる」という持論があった。音楽好きの叔父さんと過ごした日々が世界的音楽家の出発点となったと坂本さん自身も思いがあったのだろう。
 下村さんも静かに甥っ子の活躍を喜び、教え子に「龍一にピアノを教えたのは俺なんだ」とちょっぴり自慢げに話すこともあった。

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