坂本龍一さん死去 生涯をかけて訴えた「反戦反原発」 米同時多発テロを現場近くで体験も

[ 2023年4月2日 21:39 ]

坂本龍一さん
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 「世界のサカモト」と評された音楽家の坂本龍一(さかもと・りゅういち)さんが死去したことが2日、分かった。71歳。東京都出身。

 スポニチ本紙の取材では都内の病院で3月28日に亡くなった。日本における坂本さんのマネジメント会社「キャブ」も認めている。20年6月に直腸がんと診断され、両肺などにも転移しステージ4と公表していた。

 坂本さんは長年、反戦、反原発活動を続けてきたことでも知られる。「反対し続けなければ、なくならない」という信念を持ち続けた。

 2001年4月には坂本さんの呼び掛けでシンディ・ローパーらが参加した、対人地雷廃絶キャンペーンソング「ZERO LANDMINE」を発売し、大ヒット。収益はすべて地雷除去費用に充てられた。同年9月に米同時多発テロを現場近くで体験。一層反戦の思いを強めた。「“反”という言葉を使うと、それ自体がひとつの戦いになってしまう」と「非戦」という言葉を使用し、イラク戦争などに反対の意を示した。ロシアのウクライナ侵攻に際しても「主権国家を武力で侵略するのは、どこの国だろうと許されない」と発言した。

 生涯を通して反原発の姿勢も貫いた。学生時代の1970年に国内の全原発が停止し、再稼働する際の抗議活動に参加。反原発団体「ストップ・ロッカショ」の発起人も務めた。東日本大震災後の12年の脱原発集会では「たかが電気のために、なんで命を危険にさらさなければいけないのか」と呼び掛け、波紋を呼んだ。

 同年には作家の大江健三郎氏らとともに「脱原発基本法」制定を目指す団体を設立。原発を「究極の自然破壊」と位置づけ、再生エネルギーの普及を訴えた。

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