小栗旬 5年ぶり舞台「ジョン王」は「ラーメン二郎みたいな(笑)」役柄は「鎌倉殿の13人」三浦義村似?

[ 2022年12月24日 10:00 ]

5年ぶりの舞台「ジョン王」に主演する小栗旬。NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の撮影終了後、初の作品となる
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 俳優の小栗旬(39)が今月26日に開幕する舞台「ジョン王」に主演し、5年ぶりの舞台に挑む。18日に衝撃的な最終回を迎えたNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)の主人公・北条義時役を勤め上げた後、初の作品となる。シェイクスピア全37戯曲の完全上演を目指してきた「彩の国シェイクスピア・シリーズ」の“真の完結作”となる注目の歴史劇。稽古中の小栗に手応えを聞いた。

 今シリーズは彩の国さいたま芸術劇場の芸術監督・蜷川幸雄氏の下、シェイクスピア全37戯曲の完全上演を目指し、1998年1月に第1弾「ロミオとジュリエット」からスタート。今回の「ジョン王」は第36弾として2020年6月に上演予定だったが、コロナ禍のため中止。21年5月に最後の第37弾「終わりよければすべてよし」が上演され、いったんシリーズ完結を迎えた。

 しかし「ジョン王」を上演しないことにはシリーズは終われない。蜷川氏から2代目芸術監督を引き継いだ吉田鋼太郎の強い思いから、仕切り直しの上演が決定した。

 小栗の舞台出演は17年のミュージカル「ヤングフランケンシュタイン」以来、5年ぶり。「彩の国シェイクスピア・シリーズ」出演は06年の第15弾「間違いの喜劇」以来、実に16年ぶり4作目となる。「ジョン王」は現在、最も上演機会の少ないシェイクスピア作品とされる。

 イングランド王ジョンの下へ、先王リチャード1世の私生児だと名乗る口の達者な男が現れる。ジョンの母エリナー皇太后はその私生児フィリップ・ザ・バスタードを親族と認め、従えることを決める。そこへフランス王フィリップ2世からの使者がやってくる。ジョンは正当な王位継承者である幼きアーサーに代わってイングランド王となっていたが、「王位をアーサーに譲り、領地を引き渡すよう」に要求しにきたのだ。それを拒んだジョン王は、私生児を従えてフランスと戦うために挙兵する。まんまと王族の仲間入りをした私生児は、権力者たちの愚かな振る舞いを嘆きながらも、戦争へと巻き込まれる。権力者の思惑に振り回され、世界は混迷を極めていく…。

 地味な上に「つまらない」とまで言われることもある「ジョン王」だが、私生児役の小栗自身も「戯曲だけ読んでいると、何をどう面白がっていいのか本当に分からない作品」と感想。それが自身初の吉田演出を受け「僕の演じる役が劇中の世界と客席をつなげる役割を担っていて、戦争というものがこれほどまでに人の人生を変えてしまうのかということを、観客の皆さんにより近い形で、実感を持って受け取っていただけるのかな、と。稽古を重ねてきて、作品の輪郭の一辺が見えてきました」と戦火が続く現在にも通じるテーマを説明した。

 常軌を逸した混沌の世界が描かれるため「ここまでエネルギーのある芝居は、最近なかなか見られないんじゃないですかね。(メガ盛りの)『ラーメン二郎』みたいな舞台だと思います(笑)。(トッピング)“全部乗せ”でコテコテなのに、もう一度食べたくなるような」とユーモアたっぷりにアピールした。

 権力者たちの間で、どちらに転んでもいいスタンスを取る私生児の姿には、どこか「鎌倉殿の13人」の曲者・三浦義村(山本耕史)が重なる。

 「最初は僕も、そういうふうに戯曲を読んでいました。ただ、私生児の皮肉屋のキャラクターばかり強調されると、話が取っ散らかって収拾がつかなくなる。何者でもない若者が徐々に成長し、ジョン王の側近にたどり着く、という展開に重きを置くのが、今回の鋼太郎さんの演出です。自分探しをしている若者が次々に新しい出来事に出会って、毒づきながらも色々なことを理解していって、その積み重ねの末に、気がついたら意外と立派な人間になっている。なので、前半と後半で私生児のキャラクターが随分変わります。最初はつまらないと感じた戯曲も、稽古を重ねているうちに、だんだん納得がいき、面白くなってきましたね」

 <リラックス・パフォーマンス公演=1月17日(火)13:30開演)>劇場での観劇に不安がある人にも楽しめるよう、通常公演とは少し違う環境で公演を実施。観客が上演中に少し音を出したり、動いたりしまうことがあってもOKという。12月上旬、インタビューに応じた小栗は「具体的にどのような形になるのか、僕たちもまだ分からないんですよね」。“賑やかな芝居小屋”の雰囲気もイメージされるが「そんなふうにご覧いただいてもいいのかもしれませんね。シェイクスピアというのは、大衆演劇の延長線上にありますから」とした。

 ◇「ジョン王」公演日程(東京公演は他都市の公演と出演者・配役が一部異なる)
 <東京公演>2022年12月26日(月)~2023年1月22日(日)Bunkamuraシアターコクーン
 <愛知公演>2023年1月26日(木)~29日(日)御園座
 <大阪公演>2023年2月3日(金)~12日(日)梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
 <埼玉公演>2023年2月17日(金)~24日(金)埼玉会館大ホール

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2022年12月24日のニュース