井之脇海 「ちむどんどん」矢作役 「料理の練習で近づけた」

[ 2022年8月24日 08:30 ]

連続テレビ小説「ちむどんどん」で矢作を演じる井之脇海(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】NHK連続テレビ小説「ちむどんどん」で、俳優の井之脇海(26)が演じる矢作が再登場した。

 23日放送の第97回で矢作は食い逃げで捕まった際に暢子(黒島結菜)と遭遇。24日放送の第98回では、自ら開店した店の経営失敗による借金返済、妻との別離、職探しの難航を明かした。

 取材に応じた井之脇は「撮影が2カ月ほど空きました。久しぶりに参加して戸惑う部分もありましたが、監督、プロデューサーと打ち合わせをして、その後の矢作にどんなことが起きたのか、緻密に思い描きながら撮影に臨みました。矢作の経験や成長を表現できるので、演じていて楽しいです」と話す。

 矢作は料理人としての野心と確かな才能を秘めた人物。ひねくれた部分があり、人付き合いが苦手で、イタリア料理店で一緒に働いていた暢子にも意地悪な一面を見せていた。

 井之脇は「矢作は努力して料理を突き詰めて考えているのに、暢子はセンスや感覚でおいしい料理を作ってしまうので、暢子に対してあこがれと嫉妬があると思います。演じている黒島さんは出演場面、セリフの量も多くて大変だと思いますが、ひとつひとつのシーンで暢子としてその場にいらっしゃいます。本当は周りの僕らが黒島さんに良い影響を与えられればいいと思うのですが、実際に現場で一緒にお芝居をすると、黒島さんからパワーをもらうことが多いです」と明かす。

 撮影開始前には、このドラマの料理監修を担当する「オカズデザイン」、イタリア料理指導を担当する松本晋亮氏の協力を得て料理の練習を重ねたという。

 「教えて頂いたことを自宅でひたすら反復しました。イタリア料理の練習にはカルパッチョがいいと聞いたので、昨年末と今年初めは、毎晩、カルパッチョを作って食べていました。魚は包丁を引いて切り、盛り合わせのラディッシュは押して切るので、包丁の2種類の使い方を練習できるんです。一生懸命に料理の練習をしていると、それだけで矢作に近づける感覚がありました。役作りとして面白かったです」

 今作は2013年の「ごちそうさん」、17年の「ひよっこ」に続いて3作目の朝ドラ出演となった。

 「矢作に注目して頂いていることを感じました。矢作が消えた時に『矢作ロス』と言ってくれた方もいたので、本当にうれしかったです。矢作がただ嫌なヤツではないということがみなさんに届いているのならば、うれしいです」

 第98回で矢作は暢子から、暢子が開く沖縄料理店でまた一緒に働く話を持ちかけられた。断りはしたものの、今後の展開が注目される。

 「挫折を味わった男が少しずつ成長していく様を見ていただきたいです」と井之脇は語った。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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2022年8月24日のニュース