“グラビア製造工場”に“カメラ席”も…コロナ禍で女性アイドル界は独自色路線へ 乃木坂は世代交代に挑戦

[ 2021年12月31日 09:00 ]

第72回NHK紅白歌合戦リハーサルで笑顔を見せる乃木坂46(左から)遠藤さくら、齋藤飛鳥、生田絵梨花、秋元真夏、山下美月
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 昨年に続き、新型コロナウイルスで思い描く活動にはほど遠かった、今年のアイドル界。ピンチを逆手に取った数々の施策で耐えしのんだグループもあれば、その荒波にのみ込まれてしまったグループも。2021年の女性アイドル界を振り返る。

 20年は「会いに行けるアイドル」の看板が崩れ去ったAKB48グループ。特にAKB48は、緊急事態宣言を受けて年初恒例のテーマ別コンサート7公演がすべて中止になり、ファンは年明けの楽しみを奪われてしまった。海外ではジャカルタのJKT48がメンバー大幅削減、ホーチミンのSGO48はグループ解散と、新型コロナのあおりをもろに受けたグループもあった。

 48グループといえば、ファンと直接交流ができる握手会だが、21年は握手会そのものの開催がなく、リモートでのお話し会など、時世を反映した方式でファンとの交流を実現させてきた。

 AKB48の名を掲げ、200人を超える国内5グループのメンバーが一堂に会する、大がかりなシングル制作もなし。一方で、5グループがそれぞれの活動を見つめ直し、新たな個性を見いだす絶好の機会になった。中でもNMB48は、“グラドル製造工場”としての新たな一面を見せることになった。本郷柚巴が豊満ボディーを武器にグラビア界に殴り込み。「週刊ヤングマガジン」の表紙グラビアを2週連続で飾るなど、次世代グラビア女王の名をほしいままにした。他にも上西怜、安部若菜、和田海佑と魅力的なメンバーが粒ぞろい。振り切った戦略は大きな成果を上げた。

 テレビ出演こそ少なくなった48グループだが、SNSを駆使して露出を確保する動きも。AKB48はシングル「根も葉もRumor」で超難度のロックダンスに挑戦。ミュージックビデオでは、三重高校ダンス部と共演した。ダンスの難しさから、派生の「踊ってみた」動画も話題を呼んだ。SKE48は12月のコンサートで、ファンが指定された時間内でデジタルカメラなどで自由に写真撮影ができる「カメコ席」を導入。結果、メンバーたちの写真がSNS上に大量に拡散されるなど、露出増に大きな役割を果たした。各グループの運営会社が昨年、分社化されたこともあってか、活動の方向性にもより小回りが利くようになった。

 一方、女性グループアイドルで人気、露出ともに実質トップに立つ乃木坂46も、新たなフェーズに直面する。それは世代交代だ。21年は松村沙友理、高山一実、生田絵梨花の初代七福神の1期生3人が卒業(生田は12月いっぱいで卒業)。卒業人数は20年の4人から8人に倍増した。22年には星野みなみもグループを去り、グループをゼロから立ち上げてきた1期生は秋元真夏、齋藤飛鳥、樋口日奈、和田まあやの4人だけとなる。

 こうした未来を見据えてか、3期生の山下美月をTBS系「着飾る恋には理由があって」、テレビ東京系「じゃない方の彼女」と、次々と連続ドラマに起用。4期生の遠藤さくら、賀喜遥香をそれぞれシングルのセンターに抜てきするなど、新たな看板の育成に余念がない。かつてのモーニング娘。や48グループも直面してきた苦難を、若い力がどう乗り越えるのか。22年は“長期政権”へ向けた試金石の1年となりそうだ。

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2021年12月31日のニュース