コミケ 少し静かに復活、ビッグサイトに5.5万人 入場時間指定で“平和”

[ 2021年12月31日 05:30 ]

2年ぶりに開催されたコミックマーケット(撮影・岸 良祐)
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 新型コロナウイルスの感染拡大で中止されていた「コミックマーケット」が30日、2年ぶりに東京ビッグサイトで開幕した。ワクチン接種証明やPCR検査結果証明の確認を行うなど感染対策を徹底した上で、チケットは抽選制として入場者数を約5万5000人とした。31日まで2日間開催。コロナ下では今月19日に行われたサッカー天皇杯決勝(国立競技場)の5万7785人と並ぶ最大規模の催しとなる。

 それでも1日15万人以上が集まる例年の3分の1以下。会場では「こんなに平和なコミケは初めて」と驚きの声も聞かれた。

 「風物詩」とされる見慣れた風景や名物も消えた。まずは、一番乗りを目指す来場者の「始発ダッシュ」。最寄りのりんかい線国際展示場駅では毎回、改札から会場へ猛ダッシュする人の群れが話題となり、それを見るために人だかりができるほどだった。

 だが、今回は入場時間が指定されて「始発ダッシュ」は消滅。午前7時入場のチケットを買った都内の40代男性は「お祭り感は薄れるし、抽選が厳しいという問題もあるが、確実に早く入れるなら走る必要がなくていい」と歓迎した。

 入場時間を指定制にしたことで「徹夜組」の姿も見られなかった。当日入場券もないため、運営スタッフは「徹夜する必要が全くなくなった」と説明した。

 場内の地図や、出展者の一覧などが掲載された「コミケカタログ」も消えた。広く複雑な会場に1万以上の作家や団体がひしめくコミケを堪能するためには必携の書。大判で分厚い紙の感触を好むファンも多かったが、今回はウェブ版のみとされた。関係者によると「入場者を絞った分、収入が減って印刷は難しい」という。昨年春の開催が新型コロナの感染拡大で中止となり、大量に刷ったカタログが無駄になったことも大きいという。

 それでも久々の開催を多くの参加者が喜んだ。表現の自由やマニアックな漫画評論を取り上げる「マンガ論争」の佐藤圭亮副編集長は「今回は開催することに意味があった。オミクロン株の件もあり、直前までドキドキした。こんなに静かなコミケは見たことがないけど、これから少しずつ元に戻っていけばいい」と次の開催を見据えていた。

 《「ウマ娘」コスプレ人気》コミケ名物の一つでもあるコスプレも2年ぶりに復活した。毎回、流行や世相を反映したコスプレが多いが、今回はスマートフォン向け人気ゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」関連が最も多く見られた。「マルゼンスキー」のコスチュームで会場をにぎわせたコスプレーヤーの山吹啓さんは「スタッフの方がソーシャル(ディスタンス)が取れた空間をつくってくれて安心して参加ができました」と話した。

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