「エール」掛布雅之氏 朝から「六甲おろし」開幕3連敗の阪神に“エール”古関裕而氏に感謝「大切な歌」

[ 2020年6月22日 08:15 ]

連続テレビ小説「エール」第61話。約24年ぶりの朝ドラ出演を果たし、古巣・阪神タイガースの球団歌「六甲おろし」を歌った掛布雅之氏(中央)(左は窪田正孝)(C)NHK
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 俳優の窪田正孝(31)が主演を務めるNHK連続テレビ小説「エール」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)は22日、第61話が放送され、「ミスタータイガース」こと野球評論家の掛布雅之氏(65)が約24年ぶりに朝ドラ出演。大阪タイガース(現阪神タイガース)の球団歌「六甲おろし」の作曲を主人公に依頼した人物・掛田寅男(かけだ・とらお)を演じ、劇中、「六甲おろし」を熱唱した。折しもプロ野球は今月19日に3カ月遅れで観客を入れずに開幕し、阪神は宿敵・巨人を相手に20年ぶりの開幕3連敗。掛布氏らが高らかに歌い、朝から全国のお茶の間に鳴り響いた「六甲おろし」は阪神への“エール”となったに違いない。

 インターネット上にも「掛布雅之さんだぁ~六甲おろし、3連敗したけど、頑張れー」「これでチーム成績が良かったらなぁ…」「まさか3連敗の翌朝に『大阪タイガースの歌』」「応援歌を朝ドラで流してもらった球団がかつてあったろうか。今週はきっといいことある!たぶん」「エールで少しだけ六甲おろしを聞けて少し気分が良くなったので、週末の3連敗は水に流し…流してやろうと思ったが、それはできんな」などの書き込みが見られた。

 朝ドラ通算102作目。男性主演は2014年後期「マッサン」の玉山鉄二(40)以来、約6年ぶりとなる。モデルは全国高等学校野球選手権大会の歌「栄冠は君に輝く」などで知られ、昭和の音楽史を代表する作曲家・古関裕而(こせき・ゆうじ)氏(1909~1989)と、妻で歌手としても活躍した金子(きんこ)氏。昭和という激動の時代を舞台に、人々の心に寄り添う曲の数々を生み出した作曲家・古山裕一(窪田)と妻・音(二階堂ふみ)の夫婦愛を描く。

 第61話は1936年(昭11)、コロンブスレコードと契約して5年が過ぎ、裕一(窪田)はご当地ソングや「大阪タイガース」の球団歌「六甲おろし」などを手掛け、安定した作曲家生活を送り…という展開。

 掛布氏の登場は開始約40秒から約20秒。コロンブスレコードのディレクター・廿日市(古田新太)から「この曲は必ずファンの心をつかみます。巨人に勝てますよ」とレコードを手渡され「おおきに!」。裕一と肩を組み「六甲おろし」を合唱した。

 「阪神タイガースの歌」、通称「六甲おろし」は佐藤惣之助氏が作詞、古関氏が作曲。1936年(昭11)に「大阪タイガースの歌」として発表され、61年(昭35)の球団名変更とともに改題された。

 劇中、六甲おろしを歌った掛布氏は「当時の『♪大阪タイガ~ス』と歌っているのですが、僕らの時代は『♪阪神タイガ~ス』と歌っていたので、ついつい間違えそうになってしまいました(笑)。『六甲おろし』には、球団の歴史が染みこんでいると思っています。我々の1985年の阪神日本一も含まれます。球団を作った先輩方やプレーされてきた選手たちがいたからこそ、僕らの時代の野球があったわけですから。声高々に我々の球団歌『六甲おろし』を歌いながら、改めて先輩方に対して、感謝の気持ちが込み上げてきました。今回、『六甲おろし』が朝に流れるので、少しでも阪神タイガースを勢いづけることができたらいいなとも思っています。もちろん首位狙いです!」と感想。

 ドラマ出演は1996年後期の朝ドラ「ふたりっ子」の本人役以来24年ぶりとなり、オファーには「連続テレビ小説という素晴らしい作品にまた参加できることがとてもうれしかったです。ドラマ出演自体が2回目になるので、緊張もありました」と心境。「精鋭のスタッフさんたちが大勢おられるので、スタジオの中にいると、いい作品を作り上げようとする制作陣の思いみたいなものがヒシヒシと伝わってきました。気持ちのいい現場だなと思いましたね。そういう空気感で作られている作品に参加でき、いい経験ができたなと感激しています。主演の窪田さんとは初めて共演させていただきましたが、凄く場の雰囲気を和ませてくださる優しい方でした。短いシーンでしたが、野球で言うキャッチボールができました。楽しいキャッチボールができたので、共演シーンを見ていただけたらと思います」と今年2月の収録を振り返った。

 古関氏は63年(昭38)に発表された3代目の巨人軍の歌「闘魂こめて」も作曲。掛布氏は「僕が阪神に入団して何年か経ってから、同じ作曲家の方だということを知りました。阪神も巨人も歴史のある球団ですから、それぞれの球団歌の歌詞やメロディー1つ1つに、重みを感じます」。現役時代は「春の激励会や秋の納会に選手全員が集まり、そこで『六甲おろし』を歌うという風習がありました」といい「歌うたびに、ファンヘの感謝の気持ちがあふれていましたね。非常に心地いいメロディーで、僕にとって大切な歌です。ファンの皆さんは、勝てば甲子園で毎試合『六甲おろし』を歌ってくれますので、我々選手を勇気づけてくれる球団歌でもあり、時には叱咤激励してくれるような存在の歌です」と明かした。

 85年には4番を担い、3番ランディ・バース氏(66)5番・岡田彰布氏(62)と強力クリーンアップを形成。21年ぶりのリーグ優勝、初の日本一に貢献した

 「85年に優勝した時は、ファンの皆さんが大変喜んでくれて『六甲おろし』を大合唱してくれました。今でもその時の『六甲おろし』は忘れられません。今後も永遠に、球団歌として受け継がれていくわけですから、主人公のモデルである古関裕而さんには『六甲おろしを作ってくださって本当にありがとうございます』とお礼を申し上げたい気持ちでいっぱいです」と感慨深げに語った。

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