九州国際大付連覇 ネットの心ない書き込みに佐倉主将「メンタルやられた」も意識したのは浅野の姿勢

[ 2023年7月28日 04:00 ]

第105回全国高校野球選手権福岡大会決勝   九州国際大付2-1東筑 ( 2023年7月27日    久留米 )

<九州国際付属・東筑>優勝を決め、喜ぶ九国ナイン(右は佐倉)(撮影・中村 達也)
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 福岡大会の決勝が行われ、九州国際大付が東筑に2―1で勝利し、2年連続9度目の甲子園出場を決めた。「高校四天王」の一角でプロ注目の佐倉(人ベンに峡の旧字体のツクリ)史朗主将(3年)は4番として二塁打を放つなど勝利に貢献。自身3度目となる甲子園では目標の日本一とともに、予選では飛び出さなかったチームを勝利に導く本塁打を宣言した。

 101キロの大柄な体を揺らしながら、九州国際大付の佐倉主将は2年生エースの田端竜也やチームメートのもとに駆け寄って喜びを分かち合った。決勝では3回に四球で出塁し貴重な2点目のホームを踏めば、6回には右翼への二塁打を放つなど2連覇に貢献。「優勝旗を取り返したかった。今はまず喜びたいです」と笑みを浮かべた。

 花巻東の佐々木麟太郎らとともに「高校四天王」として昨春、昨夏と甲子園に出場。秋からの新チームでは主将に指名されたが、昨秋は3回戦敗退。今春は準々決勝で9回に5点差をひっくり返され逆転サヨナラ負けと、道のりは平坦ではなかった。ネットの心ない書き込みを見てしまい、「メンタルをやられた時もあった」と明かす。思うようにバットが振れないこともあったが、「みんなが助けてくれた。自分が打たなくても、周りが打ってくれたり支えてくれたりした」と感謝した。

 主将として意識したのは、昨夏の3回戦で対戦した高松商・浅野(巨人)の姿勢。佐倉が一塁守備に就いている際に、ひっきりなしにベンチから声を出している姿が目に焼き付いた。「先頭でチーム全体を引っ張っていっているように見えた。そういう風になれたら」。今夏の予選では1発こそ出なかったものの、全試合で安打を放つなど打率・435(23打数10安打)、4打点と役割を果たした。

 高校通算31本塁打の佐倉にとって花巻東の佐々木の140本は「ありえない数字なんで。そこまで気にしていたら自分がおかしくなりそう」と苦笑いする。真鍋慧(広陵)、前田悠伍(大阪桐蔭)の四天王とも同列で名を並べられるが、「正直レベルが違いすぎるので…」とリスペクト。それでも「(周囲に)言ってもらえているなら結果を残したいですし、できるならそういうチームを倒して日本一になりたい」と主将としての熱い思いを口にした。

 チームの勝利が最優先だが、一人の打者として「甲子園でホームランを打ちたい」と力強く誓った佐倉。熱い、熱い夏にする。 (杉浦 友樹)

 ◇佐倉 (人ベンに峡の旧字体のツクリ)史朗(さくら・きょうしろう)2005年(平17)11月3日生まれ、福岡県久留米市出身の17歳。小1から野球を始め、宮ノ陣中では球道ベースボールクラブに所属し2年時にジャイアンツカップ出場。高校では1年春の九州大会からベンチ入りし、秋から4番。1メートル83、101キロ。右投げ左打ち。

《2年生エース田端 4試合連続完投》
 「投」のヒーローは2年生エースの田端だった。東筑対策として直球の抜け球が危ないと感じていた。制球を意識したという決勝のマウンドで、直球やチェンジアップを軸に暴投の1点のみの2安打1失点完投。「ちょっとホッとしている。とてもうれしい」と感慨に浸った。今大会は5回戦から決勝まで4試合連続で完投と奮闘した。昨年のエースだった香西一希(早大)からケガをしないトレーニング方法や疲労回復法などラインで助言をもらって臨み「力になった」と感謝した。楠城徹監督は「心強いというか。きついと思うんだけど、1試合終わるごとに(肩や肘は)張っていませんというんだよね。すごいピッチャー」と称えた。昨夏はスタンドから見つめた甲子園に向け田端は「気負うことなく自分のピッチングをしたい」と力を込めた。

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