【内田雅也の追球】大敗―競り勝ちの強さ 大切なのは11日 3連敗阻止へ前向く岡田監督

[ 2023年5月11日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神0-5ヤクルト ( 2023年5月10日    甲子園 )

3回無死一、二塁、西勇は遊ゴロに倒れる。投手石川(撮影・北條 貴史)
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 敗戦後、阪神監督・岡田彰布は通路を歩きながら「あ~、久しぶりにあっさり負けたなあ」と言った。

 0―5の完敗。5点差以上の大差で敗れるのは3―8だった4月14日DeNA戦(横浜)以来である。18試合ぶり、今季まだ3度目と少ない。

 「――ということは疲れへん、ということや」と笑った。接戦で敗れるよりはダメージが少ないという意味である。

 長いペナントレースである。接戦をものにし、敗れる時は完敗というのが、監督はもちろんチームにとっても精神衛生上望ましい。そして、そんなチームこそ強い。

 その点で今季1点差試合をリーグ最高7勝3敗の阪神はレースを勝ち抜く強さも秘めている。

 試合は43歳のヤクルト先発・石川雅規の老練な投球にやられた。6回裏1死で降板するまで4安打無得点。今季初白星を献上した。

 救援陣も打てず、5安打で2試合連続の零敗。とにかく、出した走者が次塁に進まない。走者進塁は3回裏無死一塁での木浪聖也左前打の時だけだった。つまり、凡打の内容も悪かった。

 3回裏無死一、二塁は西勇輝が送りバントを2度ファウルして追い込まれ、バスターに出て遊ゴロ、二塁走者が三封。4回裏無死一塁は3連続凡飛。6回裏無死二塁は遊ゴロで走者は進めず、7回裏、8回裏も走者一塁のままだった。

 先の広島遠征で2試合連続雨天中止(6、7日)となり、打線の調子も狂ってしまったか。ともに4打数無安打の大山悠輔は3本が、佐藤輝明は4本ともフライアウトだった。このうち大山は初球で2本、佐藤輝は第1ストライクで2本の凡飛があった。果敢に打ちにいき、打ち損じていた。

 ただ、「フライボール革命」などを持ち出すまでもなく、フライアウトの延長線上にホームランがある。打球は上がっているわけで、わずかな差なのかもしれない。

 岡田もとにかく、前を向いていた。11日が大切なのだ。何しろ今季まだ1度も3連敗はしていないのが強みだ。

 会見を終えると「敗因ばかり探ろうとするからなあ」と顔をしかめた。その会見では何度か「それが野球よ」と繰り返していた。大リーグの監督や選手もよく使う「イッツ・ア・ベースボール」。打つ時もあれば、打てない時もある。それが野球である。 =敬称略=
(編集委員)

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