DeNA・斎藤、木塚コーチが示す「配慮」の姿勢 これも首位を支える原動力

[ 2023年5月11日 07:30 ]

DeNA・木塚投手コーチ
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 4月22日、マツダスタジアムでの広島戦試合前。

 中堅エリアで調整する投手陣の中で、木塚投手コーチと4年目の坂本裕哉投手が、並んで立ち話をしていた。開幕1軍入りした坂本は、4月4日の巨人戦で7回から2イニングを投じて以降、登板機会がなかった。

 木塚コーチ「投げる機会がなくて申し訳ない。ストレスがたまっているだろう。何か言いたいことがあったら何でも言ってくれ」

 坂本「そんなことは何もありません。全然大丈夫ですっ!」

 会話は約10分続いた。その翌日の23日、坂本は出場選手登録を抹消された。

 そして5月6日のヤクルト戦(神宮)。不調のエスコバーの代役として再度出場選手登録されると、10―5の6回から登板し、自己最速152キロを計測して2回1安打無失点。32日ぶりの1軍マウンドで快投を演じた。

 5月8日の横浜スタジアムでの投手練習。取材に応じた斎藤チーフ投手コーチは明かした。「バウアーに言ったんですよ。“俺が100回言うより、お前が1回言う方が選手は聞く”と。それに、選手にも“俺が全てではないと常に言っている。(指導が)合わないと思ったらすぐ止めろと”。彼らの野球人生だから」。

 斎藤、木塚両コーチともに、現役時代の実績は十分。だが、この2つのエピソードから判断できるのは、2人が経験に基づく指導を前面に出すのではなく、選手に寄り添い、選手を尊重する姿勢を持っていること。坂本も自身の立場を自覚し、復帰後にしっかりと結果を出した。

 首位を走るDeNAの投手陣は好調。現在29試合を終え、防御率は3・19。ちなみに三浦監督が就任してから過去2年、21年は同試合終了時で4・95、昨季は3・76。数字が全てではないが、両コーチの指導は結果に表れている。

 このようなコーチ陣の「配慮」も、DeNAの快進撃を支える要素であることを忘れたくはない。(大木 穂高)

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