3Aでロボットアンパイア採用「選手は文句を言わなくなったが、良い面も悪い面も」と監督 理由は?

[ 2023年5月11日 10:27 ]

 今季は3Aの試合でロボット・アンパイアが試験的に採用されている。コンピューターがストライクかボールかを判定、球審がイヤフォンで聞いて、選手やファンに向けてコールする。

 3Aの監督は「選手は誰もストライクゾーンに文句を言わなくなった。そこには良い面も悪い面もある。抗議する姿もファンを楽しませてきたからね」と言う。機械相手に異議を唱えても仕方がない。「人間だったら判定は違っていたかもと思うことはあっても、それで叫び声を上げたりしない」とAP通信が報じている。

 MLBがロボットアンパイアをテストしているのは、人間に任せると審判によってストライクゾーンが異なるし、人間のやることだから間違いがあるからだ。誤った判定で試合の流れが変わり、結果が変わらないようにするため。試合を決めるのは審判ではなく選手であって欲しい。3Aでは別のバージョンのテストも行っている。人間の球審がストライク・ボールを判定し、ロボットがバックアップ役。チームは人間の判定にチャレンジできる。

 もっともこのシステムが将来的にMLBで採用されるかどうかはまだ決まっていない。優れた技術だが、これまで長い歴史の中で、野球らしいとファンの間で楽しまれてきた要素を失うかもしれないからだ。間違った判定に、投手や打者が、あからさまに不快な表情になり、嫌悪した目で審判をにらみつける。ヘルメットを叩きつけ、土を足で蹴る。監督がダグアウトから出て猛烈に抗議する。そうやって感情をむき出しにする姿が、見るものをドキドキさせてきた。

 一方で経験豊富なベテラン投手は、審判のストライクゾーンの違いを巧みに利用できたし、偉大な捕手は卓越したフレーミング技術で投手を助けた。人間が審判をしていたからこそ起きたドラマや見どころが消え失せ、淡々とした静かなゲームになってしまわないか。娯楽としてはどうなのか?

 今、3Aではロボットアンパイアが静かに素早く浸透している。文句も出ない。果たしてそれが野球にとって本当に良いのかどうかという議論なのである。

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