ソフトB・上林 “最後通告”に発奮の今季初猛打賞「普通にやればできる」思い出の仙台で猛アピ

[ 2023年4月15日 05:03 ]

パ・リーグ   ソフトバンク0―3楽天 ( 2023年4月14日    楽天モバイル )

<楽・ソ>6回、上林は安打を放つ(撮影・沢田 明徳)
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 “最後通告”に発奮だ。ソフトバンクは14日、楽天(楽天モバイルパーク)と対戦。試合前には打率1割と不振にあえいでいた上林誠知外野手(27)が、田中将からの2安打を含む今季初の猛打賞で、2軍メンバーとの入れ替えも示唆していた藤本監督を見返す猛アピールに成功した。ただ、チームは2桁10安打を放つも再三の好機を生かせず、今季2度目の零敗で連勝は3でストップした。

 敗戦の夜、思い出の地で息を吹き返した男がいた。上林だ。2回1死、田中将の外角低めのフォークを拾うと、右前へ運んだ。4回2死の場面では外角高めに浮いたツーシームを左前へ。6回1死二塁でも2番手・宮森から左前打し、昨年5月7日のロッテ戦以来の猛打賞を記録した。

 「最初のヒットで乗っていけた。自分で言うのもあれですけど、普通にやればできる。どうしても数字との戦いになるけど、自分を信じてやりました」。一発が出れば同点の0―3の8回2死一、三塁では遊飛に倒れヒーローになれなかったが、上林の表情からは手応えが感じ取れる。

 試合前まで開幕10試合で20打数2安打の打率・100だった。若手枠となっている「8番」で交互に起用される正木は14打数無安打。争いに敗れた柳町は2軍で打率・333、同じく増田はこの日のウエスタン・リーグ阪神戦(タマスタ筑後)で3安打。「柳町、増田が調子がいい。頭に入れながらやる」と試合前、藤本監督が入れ替えの可能性を考え始めたその日だった。

 焦りはある。ただ、フォームだけでもそれを消した。長谷川打撃コーチの提案で「右足の内転筋を意識し、ゆっくりタイミングをとる」と意識改革した。17年に球宴出場し、18年は自己最多22本塁打した才能はそう簡単に枯れるはずはない。

 仙台育英で高校3年間を過ごした思い出の地。昨夏、後輩たちは深紅の大優勝旗を持ち帰った。「昨日(仙台で)きっかけになればと言ったけど、そうなってよかった」と少し、笑った。ただ、一瞬だ。打率は・208とまだまだ。すぐに真顔に戻り「8番だけが機能していないのは、自分でも分かっている」と巻き返しを誓う。

 「これをきっかけとして、上がってくればいいね」と藤本監督。上林に関しては当分、入れ替えを考えることはなさそうだ。背番号51にとっては分岐点となる一戦になった。(福浦 健太郎)

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2023年4月15日のニュース