新庄監督 現役最終年の06年にドーピング検査で陽性判定 日本ハム元幹部認める

[ 2022年6月9日 10:30 ]

現役時代の06年に、ドーピング検査で陽性判定を受けていたことが分かった日本ハムの新庄監督
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 日本ハム・新庄剛志監督(50)が、現役時代の06年にドーピング検査で陽性の判定を受けていたことが8日、分かった。同日に「文春オンライン」が報じ、当時オーナー代行を務めていた小嶋武士氏(79)が本紙の取材に事実関係を認めた。検出されたのは、現在は禁止薬物となっている「クロベンゾレックス」。06年から始まったドーピング検査は当時、罰則がなく、違反が見つかった場合も非公表とされていた。

 「文春オンライン」によれば、新庄監督は現役最終年である06年の開幕直後に行われたドーピング検査の対象にクジ引きで選ばれ、特定の検査機関による尿検査の結果、「覚醒剤成分」が検出された。ただ、これを受けて警視庁が改めて調査したところ、覚醒剤取締法等で規制されている薬物ではなかったため、事件化されることはなかった。

 小嶋氏は本紙の電話取材にこれらの事実関係を認めた上で、「当時は筋肉増強剤の使用が国際的に問題になり、日本もドーピング検査を導入することになった」と背景を説明。05年から啓蒙(けいもう)期間が始まったばかりで、06年は検査も試行段階のため、罰則や違反選手が出た場合も非公表とされていた。当時は薬物に関する詳細な情報も不足しており「(筋肉増強剤以外で)何を使っているか、よく知らない時代」(小嶋氏)のミスだったとした。

 球団が新庄本人に確認したところ、「メジャーの時にも使っていた。中身(の成分)は知らず、無意識で使っていた」と説明を受けた。ナイター翌日のデーゲームの際など、疲労回復のためのサプリメントとして服用していたという。検査の結果を受けて球団に謝罪し、以降は使用しなかった。

 検査で検出されたのは「クロベンゾレックス」。使用された「サプリメント」は、この成分が含まれ、一部の選手の間で当時使われていた興奮剤「グリーニー」とみられる。グリーニーには一時的に集中力が増し、運動パフォーマンスが上がる効果があるとされている。「クロベンゾレックス」は当時も現在も法的に使用自体を禁止されてはいないが、現在はドーピング検査における禁止薬物。07年3月に厚労省が「医師の適切な指導のもとに使用されなければ健康被害の恐れがある未承認の医薬品」とした。



 ≪08年巨人・ゴンザレスが検査で検出され出場停止に≫クロベンゾレックスが興奮剤として禁止薬物に指定されて以降、日本球界では08年5月に巨人のルイス・ゴンザレス内野手が検査で検出され、NPBから1年間の出場停止処分を受けたケースがある。

 4月30日の検査でアンフェタミン、パラヒドキシアンフェタミンとともに検出され、事態を重く受け止めた巨人は、本人や周囲の人物への事情聴取を経て契約を解除した。


 ▽クロベンゾレックス 覚醒剤の一種「アンフェタミン」と類似の構造を持ち、代謝によってアンフェタミンに変換される。食欲抑制などの効果があるとされる。

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2022年6月9日のニュース