伊東勤氏 阪神・西純は打者との駆け引きができる野球センス感じた 2桁勝利も狙える

[ 2022年6月9日 05:30 ]

交流戦   阪神0ー1ソフトバンク ( 2022年6月8日    ペイペイD )

伊東勤氏
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 【伊東勤 視点】阪神・西純が勝ちに等しい、いい投球をした。投球の軸になるのが角度のある直球と精度の高いフォークだ。本人が言うように、カウントを取るときと空振りを狙うときで投げ分け。2回2死二塁では中村晃に初球フォークで簡単にストライクを取って、2球目に落差の大きいフォークで一ゴロ。1点を奪われた後の4回1死一、三塁でも今宮をフォークで空振り三振、中村晃をフォークで二ゴロ。ピンチを招いてもフォークを自在に操ってしのいだ。

 直球もスピードガンの数字は140キロ台後半だったが、打者がイメージよりも詰まらされているように見えた。腕の振りが小さくて野手のように抱え込んで投げてくる。こういうタイプの投手はボールの出所が見にくく、タイミングを取りづらい。

 打者との駆け引きも絶妙だ。2回無死一塁で迎えた明石。フルカウントからセットポジションに入って素早いタイミングでフォークを投げた。構え遅れた形の明石は慌てて直球のタイミングで振り出し、来たのはフォークだった。空振り三振でスタートを切っていた一塁走者・グラシアルも刺して併殺。7回にもガルビスの打席で同じようなクイックで一塁走者・周東にスタートを切らせなかった。こういう駆け引きは教えてできるものではない。野球センスを感じた。

 今回のような投球ができれば打線とのかみ合わせ次第で勝ち星は増え、2桁に届く可能性もある。交流戦後の登板が楽しみになってきた。(スポニチ本紙評論家)

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2022年6月9日のニュース