【スポニチスカウト部(4)】BC神奈川の右腕・増子航海 大学登板なしでも調査書届いた隠し玉の現在地

[ 2022年3月19日 06:30 ]

1年でのプロ入りを誓う増子(撮影・柳内 遼平)
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 今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手たちの素顔を紹介する。第4回は、ルートインBCリーグ・神奈川の最速150キロ右腕・増子航海(かずみ)投手(22)。創価大ではリーグ戦登板経験なしながら、NPB球団から調査書が届いた「隠し玉」の現在地に迫る。

 ドラフト会議が迫っていた昨年10月、増子の人生を変える封書が届いた。中身はNPB球団からの「調査書」。ドラフト会議で指名する可能性がある選手に届く書類だ。創価大ではリーグ戦の登板はなかったが、プロは大器が持つ無限の可能性に気づいていた。

 「投げていなかったのでビックリした。“見ていてくれているんだな”と思いました。(独立リーグへ)挑戦するための勇気をもらいました」

 1メートル90、92キロの恵まれた体から投げ下ろす大型右腕。BCリーグの神奈川に入団し、10日からスタートしたキャンプで能力の高さを披露した。紅白戦では、変化球をカットボールのみに制限しながらも、1回2安打無失点で1奪三振。投手として横浜(DeNA)で368試合に登板し71勝を挙げた川村丈夫新監督は「ボールに強さがある。あれだけ大きいし魅力的な選手です」と高評価を与えた。

 東海大高輪台(東京)では2年時に148キロを計測して注目を集めたが、3年夏に右肘を痛めた。創価大では長いリハビリを経て、本格復帰は4年夏。昨年8月、巨人3軍との試合で150キロを計測しスカウトの目に留まった。ドラフト指名は実現しなかったが「独立リーグからNPBを目指したい」と野球を続ける決心をした。
 故障で得たものもある。テークバックの際、背中側に入りがちだった右腕の動きを修正。右肘の負担減が目的だったが、ボールの出どころが見えにくいフォームになった。直球は数字以上の威力を発揮するようになった。

 昨年までDeNAで投手コーチを務めた川村監督に積極的に助言を求め「プロレベル」を吸収。大学時代にはできなかった実戦でのアピールを目指し「空振りを取れる真っすぐを追求していきたい」と意気込んでいる。(柳内 遼平)

 ☆増子 航海(ますこ・かずみ)1999年(平11年)6月5日生まれ、東京都出身の22歳。1メートル90、92キロ。右投げ右打ち。

 ☆球歴 葛西小1年から「江戸川プリンス」で野球を始める。葛西中では「江戸川中央シニア」でプレー。東海大高輪台(東京)では1年秋からベンチ入り。2年時に148キロを計測して注目を集めるも、甲子園出場はなし。創価大ではリーグ戦の登板なし。

 ☆球種 カーブ、カットボール、フォーク、スプリット、チェンジアップ、ツーシーム

 ☆憧れの投手 元ソフトバンク・斉藤和巳

 ☆セールスポイント 強気な投球スタイル

 ≪阪神ドラ2鈴木から刺激≫創価大の同学年には、ドラフト2位で阪神入りした鈴木勇斗投手(21)がいた。150キロ超の直球を武器にエースとして活躍した左腕。増子は「1年の時から物凄いボールを投げていた」と振り返る。キャッチボール相手としてボールの質を確かめ合うなど、4年間一緒に汗を流した2人。寮では野球ゲームの「パワフルプロ野球」でチームメートがモデルの選手を育成するなど仲が良かった。先に夢をかなえたのは鈴木。増子は「1軍で頑張っているので刺激になる。自分はまだまだですが、もう一度、同じ舞台に行きたい」と力を込めた。

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