“青天を衝いた”正智深谷エース島田 右足に死球も投打で主役 逆転二塁打&112球3失点完投

[ 2021年7月10日 20:28 ]

全国高校野球選手権埼玉大会1回戦   正智深谷5―3浦和北 ( 2021年7月10日    大宮公園 )

<正智深谷・浦和北>完投勝利をおさめた正智深谷先発・島田(撮影・郡司 修)
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 痛みに負けず、逆境に打ち勝った背番号1は二塁ベース上で青空へ高々と拳を突き上げた。2―3の7回2死満塁。正智深谷のエース左腕・島田翔矢(3年)が走者一掃の逆転二塁打を放ち「自分が打ったというより、チームのみんなが声で打たしてくれた」と笑った。

 死球を受けた右足で思い切り、踏み込んだ。3つの四球でつくったチャンス。相手投手が制球に苦しんでいたが「思いっきり振ってやろう」と迷いは無かった。初球を振り抜き右中間を破る逆転打。痛みに耐え、投げ続ける自分を援護した。

 「最後の夏の大会。自分がマウンドから降りちゃいけない。気合でいきました」

 6回の右足への死球は、仲間の肩を借りて、足を引きずりながらベンチに戻るほどの激痛。約10分間の治療でも痛みは消えなかったが気持ちで乗り越えた。3打点を挙げ、投げては112球で無四球3失点完投。田中貴晴監督も「一番“勝ちたい”という気持ちがある子。代える気はなかった」と言い切る。

 学校がある深谷市は「近代日本資本主義の父」渋沢栄一の出身地。放送中の大河ドラマ「青天を衝け」は数々の「逆境」に負けず、日本経済の礎を築いた渋沢を描いている。校舎近くにある瀧宮神社で撮影している様子を見かけたことがあるといい「有名人に会えるかもと思って通っています」とニヤリ。この日は投打の主役を演じた。

 「野球でも深谷を盛り上げられたら」と島田。昨夏の独自大会で唯一ベンチ入りして4強を経験した。「バックを信じて投げるだけなので。一つずつ勝っていきたい」。チームを埼玉の主役にする。(小野寺 大)

 ◇島田 翔矢(しまだ・しょうや)2003年(平15)6月9日生まれ、埼玉県北本市出身の18歳。小学1年から大東スポーツクラブで野球を始める。中学は武蔵狭山ボーイズでプレーし、中3時に夏の全国大会準優勝、ジャイアンツカップ8強。正智深谷では1年秋からベンチ入り。憧れの投手はロッテ・小島。1メートル80、62キロ。左投げ左打ち。

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