オリックス・吉田正 マー君撃ち 学生時代から熱望する五輪へ「勝負強さ」見せつけた

[ 2021年5月16日 05:30 ]

パ・リーグ   オリックス4-3楽天 ( 2021年5月15日    ほっともっと神戸 )

<オ・楽>6回1死一、二塁、吉田正は左越えに逆転3ランを放つ(撮影・後藤 大輝)
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 日本のエースから最高のアーチを描いた。試合後に打ち上げられた花火よりも格段に鮮やかな一発。田中将から放った打球が左中席に飛び込むのを見届けてから、オリックス・吉田正はグッと両拳を握りしめた。

 「球界を代表する投手。ピンチでギアも上がっていたし、制球ミスも少なかった。その中で、甘い球をファーストストライクからいけたのは、自分の中でも自信になりました」

 0―2の6回1死一、二塁、1ボールから外角へ逃げる145キロを強振し逆方向へ逆転の8号V3ラン。マウンドで、ぼう然とする田中将の様子が衝撃度を物語る。スタンド最前列に着弾し審判団によるリプレー検証の間も吉田正はベンチで悠々と水分補給。確信の一発で、通算100号に王手をかけた。

 コロナ禍で逆風が吹き荒れる東京五輪。収束し国内外から理解を得られる形で開催されるなら、出場は悲願だ。青学大時代の13年9月。滝川クリステルの「おもてなし」スピーチをテレビで見た時から思いを募らせてきた。「寮で見ていて“東京で五輪やるんだ”と。日の丸を背負う重み、一流しか出られない。ものすごい重圧で悩むかもしれないし、その時の心境の変化とか怖さを含めて、実際に出ることができたら」。一発勝負の大舞台で求められる「勝負強さ」を初対戦の“マー君撃ち”で証明した。

 チームが田中将に黒星を付けるのは10年6月29日以来。天敵を粉砕し首位に2・5差に迫った。「いい時も悪い時もあるので勝ちにつながる打撃が一つでも多くできれば」。頼れる主砲がチームをさらに浮上させる。(湯澤 涼)

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