原巨人「死力」の勝利 GT“伝統の一戦”2000試合目で執念采配、宿敵との激闘「未来永劫続く」

[ 2021年5月16日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人5ー3阪神 ( 2021年5月15日    東京D )

<巨・神>伝統の一戦2000試合目を勝利で飾り、スタンドのファンに手を振る原監督(撮影・大森 寛明)
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 いつの時代であっても宿敵の独走は許さない。巨人は15日、1リーグ時代も含め通算2000試合目となった阪神との「伝統の一戦」に勝利。原辰徳監督(62)は初回から重盗を仕掛け、9回は細かい継投を見せるなど執念の采配を見せた。リーグ3連覇に向けて2位につけるチームは首位・阪神と3・5ゲーム差。歴史と伝統を積み重ねた激闘の戦績は巨人の1094勝835敗71分けとなった。

 東西2球団の激闘の歴史が始まったのが戦前の1936年(昭11)。原監督は同時代から受け継ぐ古き良き人心掌握術と令和の新時代に躍進したテクノロジーを駆使する。節目の2000試合目を勝利。素直な思いを語った。

 「ジャイアンツも、タイガースのOBの方も2000という数字をどういう思いで見ていらっしゃったか。死力を尽くした良いゲームだった。我が軍にやや軍配が上がった」

 スモークの3ランなどで主導権を奪い、5―3で迎えた9回。ポストシーズンのような執念の継投策を見せた。1死満塁から大江、野上と「一人一殺」のリレー。人情味のある昭和の父親のように接してきた2投手が結果を残した。

 大江には一昨年「少しポチャッとしてきた」と体形を厳しく指摘した。食事面を管理するように指導して2軍に降格させた。昨年は上手からサイドスローに転向させ、生きる道を与えた。今年は早くも2月2日に2軍キャンプを視察した。目的は左アキレス腱断裂から復活を期す野上。「必ずチャンスを与える」と声を掛けていた。

 節目の決戦に絶対に勝つ。1点を追う初回から、そんな思いを采配に込めた。2死一、三塁。一塁走者の丸がスタートを切り、二塁ベース付近でスピードを緩める。挟殺プレーの間に三塁走者の梶谷がタイミングを見計らい生還した。相手も予期しなかった重盗。「たまたまあの2人のランナーがやったんでしょう」と笑ったが、年輪を重ねた「勝負勘」は健在だった。

 肘当てもレガースもなかった昭和初期。その当時は考えられなかったデータを駆使する。試合前には打撃練習を見ながらデータ担当のスタッフと入念に話し込む。各打者は春季キャンプから小型センサーをバットのグリップエンドにつけてスイング軌道を分析してきた。この日の相手先発の伊藤将のデータも解析。傾向と対策を練り、攻略につなげた。

 現役時代は通算1000試合目に3ランを放った原監督は「未来永劫(えいごう)続くでしょう。2000回目という現場を預かっているのを幸せに感じ英気にする」と言った。コロナ下で緊急事態宣言が延長された中でも1万4957人が来場した。良きライバルとの激闘は、いつの世もファンを魅了する。(神田 佑)

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