新井貴浩氏 やっぱり、野球は面白い!静かな球場、三塁コーチの声ぜひ聞いて!

[ 2020年7月7日 07:00 ]

新井貴浩氏
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 【新井さんが行く!】やっぱり、野球は面白いね。プロ野球が開幕して、セ・リーグは対戦がひと回りしたところ。3カ月、待ったかいがある。凄く新鮮で、楽しい。

 テレビの解説で球場に行ったら、コロナ対策で放送室はアクリル板で仕切られ、ドアは開けっ放し。同じようにドアが開いているから隣室の実況の声がよく聞こえる。去年はこんなことはなかった。特にラジオだと、状況説明が詳しく、声のボリュームも大きい。解説で話をしようとしたら、自然と隣の声が耳に入り、何を話そうとしていたか忘れちゃうことも。そりゃあ、グラウンドにいる選手たちも聞こえるよね。

 逆にグラウンドからの声もよく聞こえる。一番は打者だ。危ない球を避ける時の叫び声、自打球が当たった時の悲鳴…。放送席にまでよく通るから、聞いていて面白い。現役の頃は、声が大きい方だったから、今選手だと余計に目立っていたかもしれない。

 ベンチからの声もよく聞こえる。みんな、品がいいね。声を拾われると分かっているから、相当、意識してるんじゃない。普段なら、もっとマズいこと?を言っているはず。広島時代で言えば、会沢君の打席。今思えば、味方なのに、ここでは、とても書けないようなことを言っていたかな…。

 もちろん、フライを追い掛ける選手同士の掛け声のように“野球の声”を聞くことができるのも楽しい。特に聞いてほしいのは、三塁ベースコーチの声だ。本塁突入の有無を指示する「ゴー」と「ストップ」。広島時代は河田(雄祐=現ヤクルト外野守備走塁コーチ)さんが頼りだった。打球の質や試合展開だけでなく、次の打者の調子、チームの状況などを踏まえて判断。停滞を打開するため、あえてギャンブル気味に突入することもある。その指示をどのタイミングで出すのか。いろんな要素が「ゴー」と「ストップ」の短い声に込められている。

 10日からは限られた人数とはいえファンの皆さんも観戦できるようになる。鳴り物応援はできないし、大声も上げられない。今までにない環境だからこそ、新しい発見を楽しみにしてもらえれば。だから、野球は面白い…と思ってもらえたら、うれしい。

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2020年7月7日のニュース