医薬品セールスからメジャーリーガーへ…人生をも変えるWBC

[ 2017年3月11日 11:30 ]

オーストラリア代表の右腕モイラン
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 WBCには、さまざまなドラマがある。オーストラリア代表の右腕モイランは06年の第1回大会に出場したことで、人生が変わった。

 「WBCは自分にとって特別な大会。WBCがなかったら、自分は違う人生を送っていたと思う」。サイドスローで最速153キロを誇る。昨季はロイヤルズで50試合に登板し、防御率3・43。今季もオープン戦で3試合に登板し、本戦直前に代表チームに合流した。

 今ではバリバリのメジャーリーガーだが、06年当時は全く違う人生を送っていた。96年にツインズと契約。ルーキーリーグで2年間プレーしただけで、夢破れて母国へ帰ったが「野球をやめることはできなかった」という。工事用のコンクリートをつくる仕事やプール掃除の仕事をしながら、週末に地元のクラブチームで野球を続ける生活を送っていた。

 06年当時は医薬品のセールスをしていた。140キロを超える直球が見込まれ、WBCの代表メンバーに選出された。1次リーグ第2戦のベネズエラ戦に登板すると、メジャーリーガーから4三振を奪う好投を見せた。登板はこの1試合だけだったが、これがスカウトの目にとまった。

 大会直後にブレーブスとの契約を勝ち取ると、06年4月にメジャーデビュー。本格的な野球のキャリアをスタートさせた。09年、13年大会はコンディション不良のため、WBC出場を見送ったが、大会への感謝の気持ちは忘れない。「WBCがなかったら、今も医薬品のセールスをやっていたと思う。また出場することができて本当にうれしい」と、来日直後に笑顔で話していた。

 チームは10日、1勝1敗で迎えたキューバとの第3戦に敗れ、1次リーグで敗退した。守護神として期待された右腕はキューバ戦のみの登板だったが、2回2安打無失点。3三振を奪う抜群の投球を見せた。

 オーストラリア代表には、消防士との2足のわらじを履く5番ケネリーもいた。日本戦では4打数1安打で、千賀から三塁内野安打を放っている。大会前、「自分は消防士という仕事に誇りを持っている。野球人生よりも、消防としての人生を優先させたい」と話していた。WBCには、さまざまな物語がある。(記者コラム・神田 佑)

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