大谷「緊張」足つり降板も開幕1勝 直球52球全て150キロ超え

[ 2015年3月28日 05:35 ]

<日・楽>6回2死一、二塁、マウンドに戻った大谷が練習投球で1球投げた後、厚沢投手コーチがベンチに向かって「バツ」を出す

パ・リーグ 日本ハム5-2楽天

(3月27日 札幌D)
 足がつっても勝った。プロ野球は27日、セ・パ両リーグが開幕。プロ3年目で初の 開幕投手を務めた日本ハムの大谷翔平投手(20)は楽天戦の6回途中で右ふくらはぎがつり緊急降板した。それでも最速は159キロをマークし、5回2/3を3安打1失点。6三振を奪い、今季初勝利を挙げた。5回の逆転劇も相手の失策という「強運」だ。高卒3年目での開幕戦勝利は、球団では同4年目で勝ったダルビッシュ有投手(28=レンジャーズ)を上回った。

 緊急降板という結末に納得はしていない。それでも、大谷は勝ったことを素直に喜んだ。

 「開幕戦は緊張感があって、いつも以上に汗をかいていた。多くのファンの中で投げられ何とか勝つことができてよかった」

 プロ3年目で初めての開幕投手。序盤から制球に苦しみ、2回は2四球が絡んで1点を先制された。それでも3回以降は得点を許さなかった。すると、味方打線が0―1の5回に嶋の三塁悪送球などで一挙3点を奪い、逆転してくれた。強運だった。

 3―1の6回2死一塁にアクシデントに見舞われた。松井稼にフォークを左前に運ばれると両足に違和感を覚えた。治療のため一時ベンチへ。再びマウンドへ戻って投球練習を続けたが横で見守った厚沢投手コーチはベンチに向かって両手で「バツ」のサインを送り、緊急降板した。

 大谷は「両方の足がつりそうな感じだった。自分の責任」と振り返った。最速は159キロ。さらに52球投げた直球は全て150キロ超えだ。6三振は全て140キロ前後の高速フォークで奪った。今季初登板。92球を全力で投げたことで、右ふくらはぎをつってしまった。昨年も初登板した4月3日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)で右ふくらはぎがつり、3回で降板した。ただ、この日は勝利投手の権利を残しての降板だった。5回2/3を3安打1失点で勝った。やはり、ツキがあった。

 お守りの効果も抜群だった。開幕前、札幌市内の球団寮にお守りが届いた。母・加代子さんからだった。名前の翔平は実家のある岩手県奥州市の平泉にゆかりのある戦国武将・源義経から名付けられた。超人的な身体能力を持ち「八艘(はっそう)跳び」のイメージから「翔」と平泉の「平」。その平泉にある世界遺産・中尊寺のお守りだった。しかも「勝守」「諸願成就守」「身体健全守」と3種類。初の大役を前にオープン戦で打ち込まれる試合が続き、加代子さんは「調子が悪かったので気になっていた」と言う。大谷にとって母からもらった初めてのお守り。力をもらった。

 高卒3年目での開幕戦勝利は球団では同4年目のダルビッシュを上回った。12年の就任以降、4年連続で開幕戦白星を飾った栗山監督は「あれだけバランスを崩したのに立て直した。形じゃない、魂なんだ」と称えた。「DREAMS COME TRUE」の吉田美和が始球式を務めたこの日、大谷は登場曲に同グループのヒット曲「決戦は金曜日」を使用した。くしくも、この日は金曜日。そして相手エースの則本との初めての「決戦」に勝った。二刀流3年目。大谷がまずはマウンドで結果を残した。

 ▼日本ハム・近藤(大谷と開幕バッテリー)最初スライダーを使いすぎて腕が横振りになった。その後の直球が抜けたり、引っ掛けたりしていた。だから、途中からカーブを多投して腕を縦振りにした。

 ▼楽天・ウィーラー 2カ月ぐらい日本でプレーしているが、群を抜いて一番いい投手。

 ▼楽天・聖沢 得点圏に走者を背負うと、しっかりコントロールしてきた。打つ球がなかった。

続きを表示

この記事のフォト

2015年3月28日のニュース