シンジラレナイ!日本ハムが3年ぶり満員の札幌Dでサヨナラ勝ち 上川畑が「人生初」の劇打

[ 2022年9月18日 06:00 ]

パ・リーグ   日本ハム5―4ロッテ ( 2022年9月17日    札幌D )

<日・ロ>9回、サヨナラ打を放つ上川畑(撮影・高橋 茂夫)
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 日本ハムは17日のロッテ戦で今季6度目のサヨナラ勝利を飾って2連勝とし、最下位確定を阻止した。「ファイターズクラシック」と銘打つシリーズ6試合の3戦目で、リーグ連覇の06、07年に率いたトレイ・ヒルマン元監督(59=現エンゼルス育成コーチ)が来日。4万1138人が訪れた3年ぶりの満員試合は、黄金期のユニホームを着用するナインが“シンジラレナイ”劇的勝利を収め、今シリーズ3戦全勝とした。

 球場の演出、各打者が打席に向かう際に流れる歴代OBの登場曲。常勝時代の思い出が鮮明によみがえる。コロナ禍で声援こそ送れないが、4万超の観衆が詰めかけた球場の熱気は当時そのままだ。8回に一時勝ち越しは許したが、最後は9回2死二、三塁から上川畑が左前へ人生初のサヨナラ打。新庄監督は「今年一番の試合を見せられて本当にうれしい。あ~しびれた。これだけの超満員の中、選手たちは逆転されたけど、何とか追いつこうという目をしていた」と興奮気味に振り返った。

 2―0から4失点した8回表終了後。新庄監督はファンの行動を見て、現役時代を思い出していた。「4点取られても誰も帰らない。“あ~”ってならない」。幾度も終盤に試合をひっくり返してきた常勝時代のように「とにかく1点ずつ取りにいこう」と気持ちを切り替え、9回は1死一、二塁から石井の打席でヒットエンドランを仕掛け、サヨナラ機をお膳立て。指揮官は「こういう戦いができるチームになってきた」と選手の成長に目を細めた。試合を決めた上川畑も「負け試合だったかもしれない試合を勝ち試合にできた」とファンに感謝した。

 このシリーズを待ちわびていたのがファンクラブ会員の今川だ。44年ぶりに日本一に輝いた06年は「今でも一番記憶に残っている」といい、小学生は外野席に無料で入れる会員特典を利用して札幌ドームに足しげく通っていた。その少年がプロになり、憧れのユニホームを身にまとって満員の球場で6回に自身初の2桁となる10号ソロ。自身の夢がかない「一周している間に涙がこぼれそうだった」という今川は「逆転されたけど06年がよみがえった。どんな劣勢の場面でもひっくり返す力が、今のチームにも絶対あると思う。あの感動をもう一度、北海道の皆さんにお見せしたい」と力強く話した。

 「ファンは宝物」をスローガンに掲げた今季は最下位に沈む。何度も経験した悔しさは、若いナインの経験となったはず。再び北の大地を熱くするべく、常勝時代のような粘り強さを身につけていく。(東尾 洋樹)

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