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“秘境探検” 25センチ東京イワナ

[ 2019年6月22日 07:10 ]

東京イワナを釣り上げた筆者
Photo By スポニチ

 【奥山文弥の釣遊録】東京都を流れる多摩川には多様な魚がいます。今回は源流に生き残って自然繁殖している魚たちを狙ってみました。できれば東京都の天然イワナを釣ってみたいと思って、JR青梅線奥多摩駅付近で多摩川に合流する日原川(にっぱらがわ)を探ることにしました。

 日原川は支流としては奥が深く、さらに支流もたくさんあるので、天然イワナが残っているのはここしかありません。その話は有名で、かなりの激戦区になっているのも事実です。

 行ってみてびっくり。谷は深く、簡単に釣り人を受け入れてくれるような渓相ではありませんでした。途中ゲートが閉まっていて、そこへ車を置いてさらに奥へ歩かなければならないところもあるほどです。しかし天然魚はそういう場所にしか残っていないだろうと奥へ行ってみました。

 降りられる場所を見つけ、川に出て準備開始。ロッドはモルファスウィスカーファントム504・ULF、リールはカーディナル3、ラインはFCスナイパー3ポンド(0・8号)です。ルアーはいつものトリコロールミノー55ミリ。今年私はほとんどの渓流ルアーはこのミノーを使用しています。

 フローティング、シンキング、そして流芯というヘビーシンキングの3タイプを用意し、流れの強さや深さによって交換して使います。これより小さいミノーですと、小さい魚も釣れてしまうのでなるべく使わないようにしています。

 1匹と出合うためにはどれだけ時間が必要でしょうかと気になりました。というのも下流域ではルアーマンも多く、先日は1匹のヤマメを釣るのに2時間かかったからです。さらにこんな山奥で足跡だらけでしたから。

 しかしその不安はすぐになくなりました。5投ほどでプルプルと小気味よい当たりが来て、小さいイワナが釣れました。ラバーネットですくい、丁寧に扱ってリリースしました。「いるじゃん、東京イワナ!」。いきなり目標達成です。

 一安心して次のポイントに投げ込むと今度は一撃でヒット。それはまさかのヤマメでした。ヒレピンで美しい魚でした。上流へ発眼卵を放流したことがあるとは聞いていましたが、それの末裔(まつえい)でしょう。下流の放流魚が野生化したものとは全く違う魚体でした。

 そしてミノーに襲いかかるイワナや時々ヤマメを楽しむことができました。尺イワナは釣れませんでしたが、25センチまで釣れました。ルアーはすべてトリコロールミノーです。こんな激戦区でなぜ?と考えてみました。

 日原川では餌釣りとテンカラが多いと聞いています。フライの友人がなかなか釣れないと言っていたので相当プレッシャーがかかっているのでしょう。今回はルアーでしたから、遠くから静かに攻められるので良かったのではないかと思います。ただし今後、多くのルアーの方が入るとやはり沈黙してしまうかもしれません。

 私もフライをするので次回以降はなんとかフライで東京イワナを仕留めてみたいと考えています。(東京海洋大学客員教授)

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